読書感想文「ほんまにオレはアホやろか(水木しげる)」

「水木しげる」と聞くと直ぐに「ゲゲゲの鬼太郎」が思い浮かぶ。この本のタイトル「ほんまにオレはアホやろか」に惹かれて読んでみた。あの有名な鬼太郎が生まれる前の紆余曲折な人生と水木しげるという人物の魅力も知った。

 

水木しげるは幼いころから自然が好きで、山や草むらへ入り、虫たちの行動を観察していた。ガキ大将でパワフルな彼は、学校では勉強はだめで落第生。興味のあることには周りの目も気にせずのめり込んでしまう少年だったようだ。この本を読むと、彼の根底にある人間としての、地球上に生まれてきた生き物としての、強い何かが感じられる。

 

あまりにも出来が悪く、就職先でも失敗ばかりである。青年期に太平洋戦争に行かされる話は、とても興味深かった。彼は軍隊の中でも落第生であった。それも超落第生だ。遅刻やヘマで日々怒られてばかりだった。そしてどんどんと遠い戦地南のラバウルへと任務が変化していった。上官達は風変りな彼の対応を面倒くさがり、一番危険な戦地へとボロ船で送り出すのであった。

 

自分はもう死ぬかもしれないと思いつつも、強靭な体力と精神力と運?で生き延びる。こんな人本当にいたのか?とびっくりした。島ではマラリアにかかり、爆撃で左手を失ってしまい、傷病兵部隊送りになってしまうが、ふらふらと禁止されている現地民のところへ行き、たちまち現地の人々と友達になってしまう。言葉もろくに通じないのに、なぜ彼は皆に愛されてしまうのだろう?そして彼に関わった上官も風変りで不思議な彼の魅力で彼の行動に目をつぶるようになってしまう。

 

奇跡的な戦地から日本へ生還後も、彼の独特な物の考え方と戦後の時代の雰囲気が、読んでいてとても興味深かった。働き口を探す時も何か常にひょうひょうとして苦難を乗り越えているように見える。紙芝居や貸本への仕事は、描いても描いてもお金にならなかったようだが、どこか楽天的であきらめきってるわけでもなさそうな感じがした。

 

 

 

それは、水木しげるは、絵を描く、物語を作ることが本当に大好きで、苦しいけれど、これしかできないからと言いながらも、実はそれが自分のやりたいことだったのだと思う。また戦地に行く前あたりから、哲学書を多く読んでいたようで、アホなふりしてぜんぜんアホではないと思う。

 

私は彼が失敗しても気にせず自分の好きなこと、興味のあることにまっしぐらになっていく姿に感銘を受けた。きっと描きたくて仕方なかったのだと思う。そして生きる自信があったのだろう。描くことや漫画を描くことで、自分自身の哲学を構築していったのであろう。彼の生き方がそのまま作品に表れているのだと思う。

 

 

(40代女性)

 

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