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読書感想文「ドクター・ステルベンの病室(桂修司)」

この作品に出会うまでは、医師という特殊な職種にはどこか特別であるような感覚を持っていた。だか、医師も1人の人間であることを改めて痛感させられ、医師に対する見る目が少し変わったような気がする。
 
この作品タイトルの『ドクター・ステルベン』を始めはこの作品の主人公名だと思っていた。ところが、主人公はコツコツと地道に仕事をこなす真面目な血液内科医であった。さらに、『ドクター・ステルベン』の意味が、医療界の隠語で用いられている『死神博士・死を呼ぶ医師』であると知って、急に怖さのあまり寒気を感じた。まさに、”名は体を表す”という感じで、タイトルがこの作品を語っていたと知り感動してしまった。
 
まさか、真面目な医師・波木が殺人鬼に変貌してしまうなんて、意外であり驚いた。しかも、殺人鬼へと変わっていく波木の心の変化を克明にこの作品では語られているので、とても興味深く感じた。最近のTVや映画で語られるミステリーは、事件の真相の追求がメインで少しずつ謎解きをしていく。だがこの作品では、真面目な人間が、ふとしたきっかけにより殺人を犯してしまった。
 
これを機に歯止めが効かなくなり、復讐心を持ってしまったり、罪を重ねてしまう心理状態迄克明に描かれていたので、凄いと思った。なかなか犯人側からミステリーを読んだり見たりする機会が私には少なかっただけかもしれないが、新しい見方を得たようで面白かった。
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この作品の中でとても気になった一言がある。それは、新垣教授の一言で【医療というものは、治りたい患者と治したい医師の双方の信頼があって初めて上手くいくものだ。…】である。私の好きなアーティストの曲の歌詞にも【不思議だけど気持ち一つで 未来は変わるさ】という物がある。
 
自分の経験の中にも、諦めてしまえば楽になるから、進むことを止めてしまって後悔した事が何度もある。それでも、夢を叶えたい、病気を克服したいなどの思いを持ち続けているからこそ、寸前のところで踏みとどまって今も頑張れているのかもしれない。人の心は弱くて脆いものだが、その弱さに立ち向かって生きていく事の大切さを、この作品で改めて学んだと思う。
 
 
(40代女性)
 
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