読書感想文「退出ゲーム(初野晴)」

「正解だよ、お姉ちゃん」初野晴先生のハルチカシリーズ第1巻、「退出ゲーム」の中に収録されている「クロスキューブ」の中で印象に残ったセリフである。
 
固定観念や常識に捕らわれず、問題に対する解答を導き出した主人公の少年ハルタによって、一人の少女が過去と向き合い決別し立ち上がるこのシーンは、恥ずかしながら感動して思わず泣いた。この作品は推理小説か青春小説に分類されると思うのだが、それだけではない何かを感じさせられる作品であると私は感じている。

 
 
 
ミステリ作品でもあるため、細かい描写を取り上げるといわゆる「ネタバレ」になってしまうので、ざっくりとした内容しか書けないのがもどかしいが、前述の「クロスキューブ」では、大切な思い出と、過去に縛られる少女を救うために、主人公がたどり着き選んだ方法には、「固定観念や常識に捕らわれずに、時には乱暴に見える方法を選ぶことで、問題の本質と、そこに託された想いを受け取ることが可能になる」という教訓を私は得たし、他の収録作品である「エレファント・ブレス」では、「戦争の恐ろしさと、戦争に従事した人間の抱える暗い闇の一部」を垣間見させてもらった気がする。
 
まるでライトノベルのような軽い読み口の作品だったが、連絡短編のように綴られていく、主人公 ハルタとヒロイン チカの高校で巻き起こる数々の事件は、そんな様々なことを読者に教えてくれる、人生の教科書のような「気付き」と「学び」に満ちていたように思う。
 
流石に、ハルタのような『柔軟な発想力』が身につくわけではないので、日常生活にそれらを活かしていけるかと言えば、フィクションであるため難しい部分ももちろんあるのだが、それでも、直面した問題に対して、がむしゃらに挑み続けるのではなく、目の前に並ぶ事実を並べて、一度きちんと考えて、いくつかの視点をもって向き合うことで、関わった人間の多くが喜ぶような解決策を考えられるようになろうという、少々青臭いかも知れないが、そんな姿勢を意識するようになったのは事実だ。
 
前述したとおり、この作品はミステリだ。そして、ミステリとしても優秀な作品だ。青春を思い出せたり、ミステリに頭をひねったり、そんな様々な経験を得ることができたこの作品に出会えて、私は幸運だったと思っている。
 
(30代男性)
 
[amazonjs asin=”4043943717″ locale=”JP” title=”退出ゲーム (角川文庫)”]
[sc:post-under-massage ]

この感想文にコメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


CAPTCHA


シェアする