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読書感想文「レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち(石井光太)」

わたしは、昔インドとバングラデシュを旅したことがある。その時に目についたのが、物乞いの姿。その物乞いもいろいろなタイプがいることを知った。
 
例えば、何か芸を見せてお金を稼ぐ人、体の不自由さを見せてお金を求める人など。その中でひときわ目についたのが、子どもが産めない年の女性が1歳とか2歳の幼子を連れている、そして時には自分の乳房を吸わせているという光景。そして子どもを抱いて車の周りをうろうろしてお金を恵んでと声をかけてくるだ。
 
また時にはその子供には手足が無いこともあった。病気や事故で手足を失いこともあるが、早々目にすることはない。しかしこのインドとバングラデシュではその光景を凄くたくさん目にし、その光景は異様ともいえるほど。そして不思議に思った。何故ここまで多いのかということを。
 
その渡しの疑問を解決してくれるのが、このレンタルチャイルドという本。よくここまで取材をしてかいたな。これまであやふやであったところを明確に記載してくれて、謎が解けたような感触だった。普通の人間だったら、例えその光景を見てかわいそうだなとかどうしてかなと疑問を持っても追及することはないと思う。
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きっと旅行だし、自分には関係の無いことだと思うだろう。また旅行が終わればその光景も忘れ普通の日常に戻ることがほとんどだとおもう。でもよく考えたら、それは実際に起こっていることだし、今もなお問題とされていること。だから本当は目を抜けるべきことなのかもしない。
 
この本を読んでいるとそれらの物乞いとマフィアの関係が浮き彫りになる。マフィアと聞くだけで、何か面倒なことに巻き込まれたら…と考えて普通は身を引くのが一般的。でも石井光太の場合は何とかつてをたどって、それを突き止めるのだ。その本の流れはインドを知っているからこそドキドキするし、相当な努力と裏金が必要であったのではないかと予測される。
 
この本を読んでいると二つの対極的な考えを持つようになった。それは物乞いとして生きなければ仕方がないというどうしようもない絶望感。反対にこの苦しい環境のかなでも必死に生きている生命感である。この本を読むと自分の何もできないことに絶望感を持つし、イライラもする。しかし生きようとする人を見ると自分も頑張らなくてはと元気づけられるのだ。
 
その意味で、私はこの本をつらい時に繰り返して読みたくなる。また自分の中でもインドはいい思い出しかないけれど、裏のダークなインドも部分も知るべきなのではないかと繰り返し読みたくなる本なのだ。人間のどうにもならない運命やそれに奔走される人、またお金だけに目がくらんだ人など様々な人間模様を見て取れるこの一冊は感受性豊かな高校生や大学生にもお勧めしたい。
 
何かを感じ取ることが出来る一冊であった。旅をこれから始める人もこれを読んでおくとまた別の見方が出来るようになるだろう。
 
(40代女性)
 
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