ここ数年、日本が自衛隊から軍隊に移行するというニュースをよく耳にする。戦後日本の教育は戦争アレルギーといっていいほど武力の行使に反対的な意見を貫いてきた。しかし人類の歴史は戦争の歴史といっていいほど文明、文化の発達を語るうえで戦争は無視できない。また勝者と敗者の違い、人生が諸行無常であるということを考えさせられた。
ローマが派遣国家になるに上で皮肉なことにローマの成長の原動力になったのは国家存続の危機である。敵であるはずの隣国カルタゴの将軍、ハンニバルが彼らの繁栄を促した。ローマが一丸となってもこの将軍に敗北を重ね続けた。現在でも彼が考案した策略は士官学校でも学ばれるほどであり、イタリアでは危機が迫っていることを表すことわざとして「戸口にハンニバル」と表現することがある。
このハンニバルこそがローマ史最大の敵でありローマが「永遠の都市」と呼ばれるほどにまで成長するきっかけを与えた人物である。アルプスを越えローマの裏をかき、一時は首都寸前までたどり着き恐怖に彼らを陥れたカルタゴの天才武将ハンニバルにもついにライバルが現れる。この人物こそが問う物語の二人目の主人公であるスキピオだ。ローマの若き武将スキピオは戦略を一から考え直しハンニバルに対抗した。
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スキピオからはハンニバルに対する憎悪だけではなくライバルとして敵へ対する憧れのまなざしも感じた。その様子が現れているのはザマの戦いである。この戦いこそがスキピオがハンニバルを破り、ローマが大国カルタゴを破った決定的瞬間である。スキピオはハンニバルの戦略を模倣するだけではなく自らのアイディアも投入しハンニバルを超えて見せた。
当時は戦車に値するカルタゴ軍の象を無力化することにも成功した。ハンニバルとスキピオは師と弟子の関係に近かった。敵出るはずのハンニバルを師とし、弟子のスキピオは彼から学んだことをもとに自ら戦略を立てついには師を超えて見せた。カルタゴを攻略した後、燃えるカルタゴの都市を見てスキピオは涙したという。
大国を自らの手で攻略し彼の虚栄心が満たされたからではない。その涙は覇者であるはずのカルタゴが一日にして敗者に堕ちたからだ。スキピオはこの世のことは何事も諸行無常であることを燃えるカルタゴを見て確信した。そして、いつかはローマも同じ道をたどることも目に見えていた。
ローマはこの後、数百年は派遣国家として栄える。しかしそんなローマもいつかは滅びる。ハンニバルとスキピオの武勇伝は今日でも語り継がれるほどだ。そんな彼らの輝かしい功績にも光と影は存在する。いつかは滅びることは分かっていても人は進化を求め頂点に立とうとする。その過程で何百万、何千万という尊い命という名の犠牲も存在する。そこまでして勝利にこだわる理由とは何なのかを考えさせる。
(20代女性)
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