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読書感想文「極悪専用(大沢在昌)」

著者は、ハードボイルド作家なので、この本を手にした時はいったいどんな出来事が起こるのかドキドキしていた。ところが、主人公の望月拓馬はめちゃめちゃ軽くいい加減な奴だった。そこで、祖父の差し金でこの極悪人専用超高級マンションの管理人助手となった。
 
ここでの生活の様子を見ていると、他の作品の主役”高校生冴木隆”のように、賢く明るくて根は真面目なキャラクターであった。その拓馬の目から見える住人たちは、個性的で魅力溢れる住人ばかりが集まっていて面白かった。まさか、”飴ちゃん”をよく配っているフルヤのお婆さんが、実は調毒師で人体実験をしているなんて発想にびっくりした。
 
さらに、元刑事で管理人の白旗さんを巡っての女の戦いが原因で、マンションが無くなってしまうラストは衝撃的だった。モテる男はツライようだが、物語とはいえちょっと羨ましくもあった。でも、相手は二人とも殺し屋なので、実際には身の危険を感じてしまい、ここにはいられないだろうと思う。
 
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この超高級マンション『リバーサイドシャトウ』を作ったのは、実は拓馬の祖父だったことには驚いた。さらに、管理人が元刑事だったせいか、住人の誰もが堂々としていてマンションのルールはしっかりと守って暮らしていた。なんでも有りの裏世界で命を張って生きている住人にも、ルールは成立しているのを見ていて最低限のルールは何事にも必要なのだと感じた。
 
ただし、このマンション内では、プライバシー保護がしっかりしている反面、規則違反は即時退去という契約になっていて、なかなか厳しいルールの上に生活が成り立っている事に感心してしまった。現実に職場でも”提出期日を守らない”、”ゴミの分別ができていない”等の最低限のルールを守らない為に、迷惑を被る事がしばしばある。
 
このマンションの住人のように、心穏やかに気持ちよく過ごす為にも、お互いルールを守って過ごしていきたいものだ。ちょっと現実離れしたこの作品は、とにかく面白くて何も考えずにどんどん読めてしまうので、心を無にして読んでしまった。
 
(40代女性)
 
 
 
 

極悪専用
極悪専用

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大沢 在昌
文藝春秋
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