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読書感想文「あなたへ(河崎愛美)」

この本を知ったのは高校生の頃である。本の帯に自分と同世代の著者だということを知り、興味本位で読み進めた。中学生の淡く切ない恋愛模様が、初々しく瑞々しい文体で書かれており、内容がすんなり入り、とても読みやすかった。とても素直な文章が、大人の描く”泣かせる”ものとは違い、思わず”泣きたくなってしまう”恋愛小説だ。
 
後半に、幾度と送る手紙の返事を貰えなかった主人公が痺れを切らし、少し意地悪な手紙を”あなた”に送り、後に後悔するシーンがある。痛いほど主人公の心情がわかり、涙が止まらなかった。いなくなった”あなた”の部屋で、出会いのきっかけとなった1枚の写真を見つけ、主人公の心のまるでジグソーパズルのピースを埋めた描写は、とても同年代が書いたとは思えないほど綺麗にまとめられていて、スッキリした気分になったのを覚えている。
 
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購入してから何度も繰り返し読んでいるが、この本ほど、大切な人に想いを伝える大切さが響く一冊には出会えていない。当時、私には忘れられない人がいた。モテる人だったので早く伝えたい気持ちもあったが、どうしても自分に自信が持てなかった。結局、想いを伝えられないまま別々の高校へ進んだが、入学後もずっと変わらずに引きずっていた。読み進めるうちに、自然とその人に会いたい気持ちが溢れてきたが、共通の知人もいなかったため諦めてしまった。
 
それから3年後、同窓会の通知がきた。もしかしたら逢えるかも、と淡い期待を持ちその日を待った。そして当日を迎えたが、彼は仕事で来られなかった。伝えなかった昔を後悔をした。しかし彼の幼なじみが来ていたため、この日のために認めた手紙を託した。
 
それから日は経つが、彼からの返事はない。無事に届けられたのかも不明である。だが、これで自分なりのケジメをつけられたことに満足している。伝える勇気が持てなかった私に一歩踏み出すきっかけをくれたこの本を、これからも大切にしていきたい。
 
(20代女性)
 
 
 
 

あなたへ (小学館文庫)
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河崎 愛美
小学館
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