読書感想文「SPEED(金城一紀)」

たとえ頭では理解できても、心で納得できないなら抗えばいい。この本を読んで得たものは、シンプルだけど、とても大事なことだ。大人になって社会に出れば、学生の時よりも理不尽なことは嫌というほど増える。それにいちいち異を唱えたり反発していては、会社であぶれてしまう。
 
社会人だけではなくて学生も変わらない。仲間外れにされるのが恐いから、本当はおかしいなと思うことにも笑って同調してしまう。でも、ここに出てくる男の子達は違う。大人の不正や人のずるさが許せなくて、権力には屈せず、いつも抗っている。これは彼らが特別なわけじゃない。彼らはごく普通の高校生だ。
 
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いや、偏差値がとてつもなく低い学校に通っているから、社会的に見ればいわゆる「おちこぼれ」なのだ。でも、いくら一流といわれる大学を出て、一流といわれる会社に入ったとしても、人を見下したり不正を働いたりする人と、彼らのように勉強はできなくても、人として正しいことをしている人、どちらが本当の「おちこぼれ」なのだろうと考えさせられた。
 
彼らははじめから強かったわけじゃない。いろいろなものに抗い、仲間を亡くすという、時にはどうしようもない理不尽さに打ちのめされることもあった。それでも彼らは絶対に負けないと戦い続けてきた。なぜなら心が納得いかないからだ。当たり前だけど、いつのまにか無くしてしまうものを彼らはいつまでも大事に持っているのだ。
 
私はそんな彼らが羨ましくて、少し妬ましく思った。私もいつのまにか大事なことを忘れてしまい、人や社会に合わせる日々を送っていたからだ。でも私は妬むより、彼らに一歩でも近づきたい。だから、いい子でいることを少しやめてみようと思って、会社を辞めた。本当はずっと目指したいことがあったのだけど、他の人からどう思われるのかが恐くてできなかったのだ。
 
でも自分の人生だし、誰かが責任をとってくれるわけでもない。一度きりの人生なのだから、本当に心が納得いくことをしてみようと。失敗したっていい。転んでも、また何度でも起き上がって走り出せばいいのだ。きっとこの先負けそうになったり逃げたくなったら、何度もこの本を開いて、私は彼らに会いに行くだろう。
 
(20代女性)
 
 
 

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