読書感想文「子どもへのまなざし(佐々木正美)」

胎児は母親からどのような影響を受けているのか、また、産まれてからどのように子供を育てていくのが良いのであろうか。初めてこの本を読んだときは、まさに目から鱗だった。赤ちゃんというものがこうも能動的なのかとかなりの衝撃を受けるとともに、自分自身の育てられ方、人格形成などかなり深く考えさせられる。

 

今まで、乳幼児期はよくわからないから、”適当”というか親の言いなりにさせておけばいいのだぐらいの軽い気持ちでいたが、もうこれは大間違いだということがわかった。人格という土台作りに手を抜いてはいけないのだということが、切々と書かれている。

 

確かに乳幼児期はやり直しがきかない。母乳を飲みたいと小学生が言ってもおかしいし、中学高校生をだっこして慰めてやるなんてことできない。やり直しがきかないからこそ、この時期の子育ては丁寧に行わなければならないと著者の佐々木正美先生はおっしゃっている。

 

 

 

親戚の人に、「幼稚園の先生なんて誰でもできるわよ…せめて小学校の先生じゃないと」みたいなことを言われ、そういうものかなくらいのことを思っていたが、これは大間違い。人生の土台の時期に深くかかわる幼稚園や保育園の先生ほど、優れた人格が必要で、誰でもできる仕事ではない。子供の気持ちに寄り添うこと、子供の幸せを考えて行動すること、それが、この時期に必要なことだ。

 

私自身、子供の幼稚園選びにこの本を参考にした。今、幼稚園や保育園では「体育教えます。英語教えます。」と教える系が花盛りだ。でも、本当にこの時期必要なのは、真の意味での人格形成なのだとしたら、教育系幼稚園よりのびのびあそべる幼稚園だろう。何を幼稚園に求めるかは人それぞれだが、この本を読んだ後はお勉強系、教える系の幼稚園に入れる気持ちはうまれなかった。

 

子育てで疲れ切ってしまう理由や育児不安はどこから来るのか。よいことはどういう子のことを指すのか。子育て中なら自分自身の状態を振り返りながら本を読み進められる。放任主義と過干渉が一番いけないと書いてある。自分自身が、過干渉な親に育てられた意識はあったものの、この本によってはっきりと自己形成に苦しんだ時期を振り返り、「あぁ、そうだったのか」と納得した次第である。

 

思春期の頃、反抗すらできずにいて、それが身体の症状として表れていた自分。反抗がしたくて、大学の専攻を変えた自分。抗って、抗って、家出をして親を乗り越えた自分。そんな自分は、もがいてもがいて人格を形成していったのだと。それと同時に親がどうして過干渉になっていたのかも見えてきた。子供の頃はわからなかった親の事情。それに振り回されてしまう子供。本当は振り回されてはいけないものだけれど、人生そう上手くはいかないし理想通りにもいかない。そんな背景が見えてきた。

 

私はたっぷり反抗した分、今は良好関係だが、それでも母にこの本を読んでもらった。いかに、間違った子育てをしていたかを自覚してもらうためだ。母は、反省していた。とはいえ、過干渉はおいそれとは治らないし今でも口うるさい。

 

子供に何を望み、何を大切にして育てるか。それは後々、子供が思春期を経て大人になるときに薬のように効いてくる。そう信じて私は子供の気持ちに寄り添い、子供の自己肯定感を大切に育てていきたいと思ったのである。

 

(30代女性)

 

 

 

 

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佐々木 正美
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