読書感想文「一握の砂(石川啄木)」

十代のころに学校の授業だったか、予備校の授業だったかで初めて石川啄木の作品に触れた。まだ、十代だった私は内容の意味を理解することがほとんどできなかった。しかし、改めて読んでみると深いの一言につきる。まだ20歳そこそこの若い人間が書いたとは思えないほど一言一言が胸にささるのである。これは、小説ではなく短歌と言うスタイルだからこそ内容が入ってくるのではないだろうかと私は思った。

 

石川啄木の「一握の砂」といえばところどころ日本人なら聞いたことがあるフレーズがたびたび出てくる。特に好きな個所はこの部分である。「頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず」読んだ人間によっていろいろな解釈があるであろう。”ほほを伝う涙を拭きもしないで、限りある時間を生きるわれわれだ。だからこそ、いのちの一瞬一瞬を充実させて生きて行こうよと教えてくれた人を忘れない”。

 

このフレーズがとても好きなのである。タイムイズマネーという言葉があるように、時間というものは誰にとっても無限ではない。だからこそ人間は一瞬一瞬を大事にして一生懸命生きていくのだと思う。仕事や恋や人間関係、頑張るところはそれぞれさまざまである。

 

 

 

たいていの作家は詩をつくるとき一瞬一瞬を生きて行こうという詩を書くことが多いが、”そのことを教えてくれた人を忘れない”というストレートな表現が石川啄木が苦労をしてきた人間なんだろうということを感じると同時に、人への感謝の気持ちを常に持つことは本当に大切なことなんだと改めて考えさせられた。

 

たった三行の文章であるが、今の私にとっては一番大切にしたい文章である。また、こちらのフレーズも私が大好きな部分である。「いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ」私は病人ではないし、死を感じる経験をしたことはない。しかし、この文章を読むことで時間と言うのは誰にでも平等なのだ。ということを感じさせられた。そしてまた、後悔をしないように生きていく必要があるのだと背中を押されるような気がした。

 

時間を砂で表しているところがとてもきれいに思う。砂は子供の頃から私たちには身近なものなのでとてもイメージがしやすい。だからこそ、この文章にある一握りの砂が人間の一生であったり、流れ続けていく時間をイメージしやすくしてくれる。ここまで一語一語に重みを感じるのは啄木が病気を患っていたからかもしれない。また、自分を自由に表現できたからかもしれない。

 

この本を読んで時計の音の感じ方が少し違ってきた気がする。そして、地球から見たら小さな私の人生ではあるが、一生懸命生きて行こうと改めて思うことが出来た。

 

 

(30代女性)

 

 

 

 

 

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