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読書感想文「夏への扉(ロバート・A・ハインライン)」

「夏への扉」の読書感想文

この作品を読んだ時に、作者はもしかしたらタイムスリップの経験があるのではないかと思った。なぜなら、作品の中に出てくる様々な、技術やロボットは「現代」に通じるものがあるからだ。

たとえば、文化女中器と紹介されているロボット。24時間掃き掃除や拭き掃除をしてくれる。現代なら当たり前の光景だ。だが、この本が描かれたのは1956年の事なのだ。当時は、まだネットさえ確率されていない。ロボットが活躍する事さえ考えられなかった時代だ。

その他にも、現代では驚きもしないような事が書かれている。つい最近書かれた小説ではと思ってもおかしくはない。かつて、ロバート・A・ハインラインがどのように未来の世界を夢見ていたのかが垣間見えた気がした。

そして、この作品はSF作品でありながら人間ドラマも重視されていた。愛する恋人と大切な友人に裏切られ、30年間眠りにつく事になったダン。目覚めた時、彼が見た現実は決して夢のような世界ではなかった。

彼はそこで自分にとって何が一番大切なのかを悟ったのだ。30年前に戻ったダンがした事。それは、幼い少女・リッキィの未来を守る事だった。ダンがその気になれば、自分を裏切ったベル達に復讐する事も出来ただろう。

だが、そうしなかった。そんな事よりも、もっと大切な事があったからだ。ダンの決断を知った時に、人は前を向いて歩いていくのだと実感した。もし、彼が復讐を選択していればリッキィとの未来はなかった。ダンは正しい選択をしたのだ。

夏への扉をいつも探している猫のビート。夏というのは、最初は単純に季節の事だと思っていた。後から考えてみるとそれだけではなかった気がする。夏というのは、明るく輝く「未来」の事を指していたのではないだろうか。

人間の言葉がわからないとビートは、そうやってダンを導いていたような気がする。タイムトラベルというと、派手な設定が多いのだが、この作品はファンタジー要素もありながらしっかり地に足がついている印象も感じられる。諦めない強さと、信じる事の大切さをこの作品は教えてくれた。

(40代女性)

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