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読書感想文「ボクたちはみんな大人になれなかった(燃え殻)」

「ボクたちはみんな大人になれなかった」の読書感想文

90年代の甘くせつなくほろ苦い、青春の日々を描いた作品。過去の痛痒いを思い出をふと思い出して、引っ掻いてみると痛みはいささか薄れ、気持ち良さが上回ってくる。日々の忙しい生活の中で、電車の車内で、SNSで、苗字の変わったブスだったけど最高に好きだった人のことを思い出す。

たくさんの人と出会い、たくさんの人と別れる。ちゃんとした別れもあれば、自然と別れることもある。別れたことに気づかないことだっていっぱいある。作者の年代は私より少し上だが、本作は同年代の人には時代背景とともにノスタルジーな気持ちで読み進める。

10代、20代の若い人には、今の時代では味わえない新鮮な感情が沸いて、気持ちを揺さぶられること間違いない。テレビ業界でお勤めの作者は、雑誌がお好きとのことで、古書店によく行かれてるらしいが、音楽のことだったり、当時のサブカルチャーに精通されているのがよくわかる。「あの時はよかったなぁ」と思わせるだけでなく、今の自分と対比させ、濃淡を感じさせた。

「あの時は若かった」と顔を手で塞ぐだけではなく、いつまで経っても変わらない青春時代の気持ちの部分と変化を受け入れてきた今の気持ち、また、意図せずにいつの間にか変わっていた気持ちによって、現在の自分が形成されていることへの受け入れによって、過去を受け入れて今を生きて行く決意を感じられた。

この決意は誰にでも当てはまるのではないかと思う。忘れられない思い出は、思い出さないようにしているのかも知れない。でも、ある時堰を切って溢れ出すことがあり、溢れ出たら最後。止まらない感情に流されてみるのも良いのかもしれない。

「どこに行くかじゃなくて、誰と行くかなんだよ」と旅に出た時に、かおりが言った言葉がやけに刺さった。記憶は少しどこか曖昧で、曖昧であるからこその良さを感じとることもできた。ちょっとだけセンチメンタルになり、ゆっくりとゆったりと味わいながらページをめくっていた指が、次を待ちきれなくていつの間にかあっという間に読み終えてしまった。

(40代男性)

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