読書感想文「生き方は山が教えてくれました(原伸介)」

「山に生きる」とはどういうことだろうか。最初はタイトルに惹かれた。ただそれだけのことなのに、私の見方や価値観を大きく変えることになる。私の見方を変えてくれたのは山の神様の言葉だった。「いいんだよ。来たいときにおいで」筆者はこの時、ああ、こんなに気を張っていたんだなと気づかされるのだが、私もその言葉に涙が出てしまった。

 

ああそうか。自由じゃないか。なんでこんなに窮屈で辛いのだろう。という気持ちに答えが出た瞬間だったのかもしれない。自由でいることは当たり前なのに、いつの間にか見えなくなってしまう。当たり前が当たり前じゃなくなってしまわないと当たり前だったことにすら私達は全く気づくことすらできないのだ。

 

自由とは何か、幸せとはなんだろうか。その答えは何処にあるのか、いつもそんな風に誰かが与えてくれるものだと勘違いして生きているのではないだろうか。私達は常に情報に溢れている世界に生きている。情報があることが当たり前でSNSを通じて多くの人に情報を発信し、多くの人から様々な評価や意見を得ることが出来るし、誰かと繋がっていることに少なからず安堵したり楽しいと思っている。

 

繋がることが当たり前で繋がっていないことが間違いのような妙な世界に私達は日々生きている。でもそれは裏を返せばとても窮屈で、連絡をしなければ嫌な気持ちにさせたり、言葉一つでいさかいになったりと、実はとても気を使い気づかないうちに心が疲れているのではないかと思う。だからかもしれない。山は全てを包み込むほどの力があり、山に入るとなんて自分は小さいのだろうかと思うことはないだろうか。

 

 

 

電波も繋がらないような場所に身をおいたときに、孤独感と同時に解放感に包まれるのは何も気にしなくていいことに清々しさを感じるからだと思う。筆者である彼は14歳のときに里山が潰されたショックから15歳の時、高校入学直後に配られた希望職種を書くときに山で生きることを決めてはいたものの山で生きる人はなんという人なのだろうかと悩み、仙人と書いたら真面目にやりなさいと怒られている。

 

確かにふざけていると思われても仕方ない。だが、私はこういったことを素直に書ける人はすごいなと思う。私には書くことは出来なかった。夢はお花屋を開くとかスターにはなるとか沢山あったはずなのに、いつの間にか現実ばかりを見るようになり、大学進学や、就職と当たり前に書くようになっていた。誰しも心ではスーパーマンになりたいと思っていても素直に書くことやさらけ出すことは出来ないでいる。

 

筆者は信州で炭を焼いて生活していたが、最初は誰にも見向きもされなかった炭焼きの仕事を広めるべく講演会や売り込み、炭作りから全てを一人でこなしました。焼いても売れず、焼いたからといって相手にされずだんだんと辛くなりどん底に落ちたとき「笑え」という声がしたという。

 

笑いの力はすごいのだなと痛感した。どんなときでも、笑いの力は最大なのだと。辛いからこそ笑え。泣きたいからこそ笑え。ああそうか。私は笑ってなかったな。毎日毎日必死で笑ってなかったな。私は自分が笑顔を忘れていたことに気づいた。山の神様が呟いたのだろうその言葉は彼だけではなく私も奮い立たせた。

 

なんだろうか。すごくストンと胸に落ちるような感覚だった。だが、彼は山から遠ざかり引きこもってしまいました。嫌なことから逃げるのは誰しも当たり前にもつ本能だが、逃げてはいけないときもある。だが、もぅ耐えられないほどに折れてしまった心が治るには時間がかかってしまう。誰の声も届かない。でも、どんなに辛くても治せるのは自分しかいないんだと読み進めていくうちに私も様々なことから沢山逃げていると気づかされた。

 

そんなときに謝りながら登った山道で彼が聞いた言葉は心を溶かし、全てを包み込む山という存在に助けられた。力というのは何も魔法使いしか使うないようなものではなくて伝えて響いたときに発揮するものなのだと気づかされた。ただ、楽しければいいわけではない。ときには辛い局面も出てくるがあえて立ち向かい、どん底に落ちたなら笑い、上を見ていけば必ず道が開ける。私が何気なく日々をすごし、毎日こんなんでいいのかという悶々とした気持ちを抱えていたのがふっと軽くなった。

 

自分ができることは誰でもできることかもしれない。だが、その道を進むことができる人はどれくらいいるのだろうか。いまからでもきっと遅くはない。行動することに意味があり全ては笑顔に通じていく。もっと自由でいいじゃないか。自分が締め付けているだけなんだ。そうわかったからだろう。読んだあと自然と笑顔になっていた。

 

(30代女性)

 

 

 

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原 伸介
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