読書感想文「ごん狐(新見南吉)」

この作品を初めて読んだのは小学校の国語の授業である。そして、何度か大人になる現在までの間に自分でも読みまた、朗読会の方たちが読んでいる姿を見たこともある。私は単刀直入に言うがこの話が大好きである。

 

というのも、この作品はどこか昔の日本の優しさや冷たさ、それから夢がつつまれている気がするからだ。まず第一に久しぶりにこの本を読んで驚いたのは今読んでも古さを感じないことである。作家にもよるがこの新見南吉の「ゴン狐」は1930年代に発表されている作品にも関わらず時代の変化を良い意味で感じさせないところが素晴らしい。

 

また、同じ時代を生きていない私たちが親近感を覚えるキャラクターを生み出しているところが好感を覚える。激動の昭和から読み続けられとさらにネット社会、高齢社会と呼ばれている日本現代を生きる私たちが読んでもイメージができ、さらに登場人物たちに感情移入ができてしまうという部分が良い意味で裏切られていてうれしく思う。

 

主人公がキツネであるというところもまたポイントがあり、この主人公であるごん狐が決して完璧な優しいキャラクターではなく、人間たちが住む村の近くに住み、普段は人間にいたずらをしながら過ごしているというところが私は気に入っている。

 

また、このごんというキツネの寂しさもいたずらをして人間たちとの不器用なコミュニケーションが好感を持つことができる。最初はごんがもう一人の主役である兵十にいたづらをして楽しんでいるのにも関わらず次のシーンで兵十の母の死を知ることで自分の行為の浅はかさを反省する素直なごんは私は大好きである。

 

ここまで素直に反省できるごんがうらやましくも思った。また、兵十の母の死を知ることでもしかしたら自分がいたづらをしていなければ兵十の母の願いが叶ったかもしれないという後悔に襲われそこから恩返しをしていく姿はとても健気で優しい気持ちになった。

 

ただ、ごんは人間ではないので人間界のルールを知らないためごんの恩返しが裏目に出てしまいさらに兵十が傷ついてしまう部分は本当にリアルで綺麗ごとを感じない新見南吉の世界観が素直に体に入っていく感じを受けた。

 

ごん狐を読むことで新見南吉が何を伝えたかったかは正直私にはわからないが、今回は主人公がキツネだが、人が人を思う気持ちは本当にピュアなんだなと改めて思ったし、今の忙しい世の中でこうも人に優しくできることはなかなか難しいと思うので本当に自分の生活を省みる良い機会であった。

 

ラストではごんは毎日のように兵十に栗を持っていき恩返しのつもりで行っていたことが返って自分の身を危険にさらす結果になってしまったことは悲しいが自分で決めたことによって死んだごんはきっと後悔がない人生であったと思う。

 

また、ここまで人を想う気持ちを表現しているごんが素晴らしいと思った。また、兵十が勘違いをして銃でごんを打ってしまう部分を読み絶対に伝わらない優しさや愛情はあるのだと改めて思った。

 

さらに、ごんの無償の愛は現実には行動として起こすのは難しいかもしれないがやはりその行為は尊敬できるし、いつかこうなれる大人になっていけたらと思った。子供の時に読んだ感想とは全く違う印象を受けたが改めて同じ本を読む面白さにも気づけてとても良い機会であった。

 

(30代女性)

 

 

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