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読書感想文「村上海賊の娘(和田竜)」

悍婦で醜女な女海賊に夢中になった。海賊物はそもそもあまり興味はなかったが、松山に住んでいると「村上海賊」はなにやら地元のヒーローらしく、あまりにもしばしば耳にするので文庫になったし何となく買ってみた。
 
最初はヒロインらしからぬヒロインに面食らう。なにせ、悍婦で醜女と人物紹介に堂々と書いてあるのだ。え、ヒロインってブスで性格悪いのか?全くその通りだった。海のルールを破った者の額に海賊の焼き印をつけるのが大大大好きだ。
 
暴れるの大好き。人の命の尊さなど考えない。顔も当時の美意識からは遠く外れた西洋顔で、当時としてはブス! 魅力なんて何もなさそうだが、なぜか引き込まれる自分がいた。掛け値なしに、時代の情勢などお構いなく、自分の生きたいようにまっすぐに生きているからだ。
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本願寺と織田信長が戦っていて、お家の会議ではまだ本願寺に味方するとは決まってもいないうちに、「瀬戸内では嫁の貰い手もないほど不細工だけど、関西では西洋人みたいな顔はモテる。」とそそのかされてあっさり大阪入り。なんという、軽さだろう。
 
大阪では門徒を送り届けたその足で今度は自分の家にとっては敵方になる織田家の砦に乗り込んで、そこで出会った敵方総大将たちにべらぼうに「別嬪」だと褒められて有頂天。そのまま婿を探すのかと思いきや、送り届けた門徒の元爺と留吉のためにたった一人で砦攻めをやめさせようという無茶っぷり。
 
そりゃあ無茶だよ、と久しぶりに本を読んでいて独り言が出てしまった。一度は瀬戸内の戻るものの、留吉のいる本願寺への兵糧入れのために満身創痍で戦うヒロインに気が付けば心の底からエールを送っていた。
 
このヒロインのすごいところは、体中傷だらけになって仁王様みたいな敵方総大将と戦っていたのは「留吉に兵糧を届けたい」という一心だけであったことだ。お礼を言われたいでもなく、本願寺が危険だから留吉を救い出したいでもなく、だ。
 
 
だから、死闘を終え、念願の本願寺への兵糧入れをして留吉と再開しても「でも、お前はここに残るんだろう」「うん」の会話であっさりと去っていくのである。このヒロインは、留吉に飢えて死ぬのではなく、自分の信念を貫き、戦って死んで欲しいのだと私は理解した。
 
「自分のやりたいこと」に対してまっすぐで、命を懸けて突っ走る気持ちの強さに胸を打たれた。私ももう少しあれこれ悩まず、自分の気持ちに正直になってみることにする。
 
(30代女性)
 
 
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