「リプレイ」の読書感想文
人生にくたびれた働き盛りの主人公は、不仲の妻と電話で話している最中に、43歳で心臓発作を起こし死亡したはずだった。目を覚ますと18歳の時の学生時代の自分に戻っていた。記憶はそのままなので、株や競馬、投資で大儲け。全てを知っている男は富と名声を手に入れた。
だが、再び43歳となり、同日同時刻に死亡してしまった。そして、また18歳に舞い戻った。主人公は人生を何度も「リプレイ」し続けることとなった。たくさんの美女と付き合ったり、薬物に溺れたり、山奥で一人で暮らしてみたり。何十回も18歳から43歳を繰り返した。
ある時、戻ってから死ぬまでの時間がだんだんと短くなっていることに気づき、主人公はリプレイする原因を突き止めようとする。リプレイを他にもしている人間と仲良くなり、人生を何度も繰り返す苦悩を共感しあった。そして、最後の一回のリプレイが訪れた。
受話器の向こうでは妻の声、そして、時計を確認するといつも死亡する時刻から一分が過ぎていた。リプレイから抜け出したのだ。希望に満ちて主人公は人生を歩み出した。
記憶はそのままに、若い頃に戻って人生をやり直したい、という考えは誰もが一度は持ったことがあると思う。その思いを本の中で叶えてくれたのが主人公である。おそらく多くの人間が主人公のように、富と名声を手に入れたり、恋人をたくさん作って遊んだり、大きな家に住んだり、旅行をしまくったり、欲望のままに行動するだろう。
その結果、幸せになれるのかというのが問題である。自分の全ての希望や欲望が叶っても、幸せにはなれないかもしれない。本の中の主人公は、欲望のままに行動した回の人生では幸せにはなれなかった。不幸のどん底に落ちた人生もあったのだ。
やはり、一緒に人生を歩むパートナーを思いやり、主人公の周りの人間が幸せになった時、主人公自身も満足のいく人生を送れたのだ。年老いていくのは怖いが、人生は一度きりでその先に死があるからこそ、希望がある。この先の自分の人生をどう歩むのか考えさせられる。
アラフォーともなると、毎日の生活を同じ事の繰り返しで退屈だと思っていた。この本を読んで、日々、自分に絶対に訪れる最後の死に向かって、二度と戻れない道を歩んでいることを知った。
実際に人生をリプレイすることはないが、人生数十回リプレイできたとしても、欲しいものを全て手に入れたとしても、死ぬ時に全てを手放すことになるのは同じだ。死ぬ時は一人で、あの世には何も持っていけない。毎日を大切に、周りの人を大切に生きていきたいと感じた。
(40代女性)
Audibleで本を聴こう
Amazonのオーディオブック「Audible」なら、移動中や作業中など、いつでもどこでも読書ができます。プロのナレーターが朗読してくれるのでとっても聴ききやすく、記憶にもバッチリ残ります。月会費1,500円で、なんと12万以上の対象作品が聴き放題。まずは30日間の無料体験をしてみよう!!