読書感想文「いじわるふきちゃん(さとうさくら)」

読んだ感想を一言にまとめると「ふきちゃんは全然いじわるじゃないじゃん」である。確かに失声症のふりをして周囲の人の本音を聞きだし、こっそり楽しむふきちゃんは趣味がいいとは言えない。自分の娯楽のためだけに周囲の人々を利用しているのも事実である。
 
しかしふきちゃんに本音をぶちまける人々も、ただ黙って話を聞いてくれるふきちゃんを利用しているように思えた。その中でも特に母親の身勝手な言動にイライラする。ふきちゃんが失声症のふりをする一因を作った人物とも言えるのに、本人はそんなことちっとも考えずいつまで経っても脳みそが子供のまま。
 

 
 
子供のことよりも自分のことが大切で、自分が楽しむためなら子供を利用する。自分を肯定する言葉だけが欲しいから、思い通りにならない子供は喋らないほうが都合がいいとさえ思っている姿が忌々しかった。
 
ふきちゃんの母親はまさに痛い母親のテンプレのような人物で、さすがにあそこまでの人は中々いないかもしれないが、自分の母親とも言動が似通っているシーンがあったため、個人的に母親が登場するだけで勝手に腹を立てていた。ふきちゃんは失声症である自分を演じることで、自分を無意識に利用しようとする他人との間に壁を作って自分を守っている、いわば自己防衛である。
 
まあ、ふきちゃんはいじわるだと最初に言い出したのもちゃらんぽらんな母親なので、ふきちゃんがいじわるかいじわるじゃないかは重要なことではないのかもしれない。終盤は無理やり明るく終わらせようと畳み掛けた印象も受けたが、ああでもしないとこの話は本当に登場人物全員がどうしようもないままになってしまうので、ふきちゃんは声を出して一歩踏み出すことが出来てよかったと思う。
 
難しく考えず一気読みした勢いも手伝ったのか読後は「よかったねふきちゃん!」と素直に思えた。登場人物全員がワケあり気質なため、明るい話題はほとんど出てこないが、テンポのよい文章と、ふきちゃん自身が思い悩むタイプの人間ではないので、読んでいる側も暗く沈むような気持ちになることなく、楽しく読むことができた。
 
(20代男性)
 
 
 
 

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