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読書感想文「火怨 北の燿星アテルイ(高橋克彦)」

男気溢れるアテルイに心奪われました。仲間に裏切られてもなお仲間を信じる心意気やバラバラだった部族を集め、朝廷軍と戦っていく姿はとても恰好よく、惚れました。最初は朝廷軍と戦うなんて無理だと誰もが思っていたことなのに、そんなことはないと、守ると誓ったのがアテルイでした、隣の部族の母礼と仲間を集め、母礼が参謀となって作戦をたてて朝廷軍の砦に向かい初戦を勝利で納めた。
 
そんな蝦夷たちを侮っていたのは朝廷軍。弱いと思っていた敵に歯向かわれ、援軍を頼もうにもプライドが邪魔して頼めず、言い訳ばかりが目立つのは今の世の中とさして変わりがないような気がした。一度上に歯向かえば次から次へと戦が始まるとのことで、母礼、アテルイ達は仲間を集めて作戦をたて、次の戦の準備に取り掛かる。
 
母礼の作戦は面白いようにあてはまり、どんどんと勝利をおさめていく蝦夷軍に面白くないのは朝廷軍。上が変わってもろくに戦況を読めず撤退するのみ、このあたりの物語は読んでいて面白く引き込まれて読むのが止まらなかった。お互いの軍は大きくなり、とうとう征夷大将軍なるものが派遣される。
 
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それは幼少期にアテルイと一緒に過ごしたことのある坂上田村麻呂だった。坂上田村麻呂はアテルイをわかっているからこその戦をしかける男と男の戦い。卑怯もなにもないただ純粋な戦い。この戦いでアテルイ、田村麻呂ともに仲間を失う。最後の戦いのためアテルイ、田村麻呂両方の仲間に思い入れがあるので、戦いに敗れる姿、大将に後を任せる気持ち、いなくなってしまう寂しさ全てがまじってとても苦しかった。
 
一人また一人といなくなってしまう倒れてしまう最後の戦。結局のところ、アテルイは蝦夷を守るために降伏してしまう。もしかしたらまだ勝てたかもしれないのに、後世のために自分の命を差し出すアテルイと母礼。都にいきたいと言い出す二人を田村麻呂は都に行けば必ず処刑されると言うが二人は一度でいいから都を見てみたいと聞かない。
 
都に行った二人は重罪で処刑される。苦しい。最後が苦しい。それでも仲間は最後まで見守り、一緒の地で果てる。相手が田村麻呂でよかった。とてもアテルイのようにはふるまえない。後世のためとは言え、自分の命を差し出すような真似ができない。アテルイ、田村麻呂ねぶたの元になるのもわかる気がした。
 
(30代女性)
 
 
 
 
 

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