「坂の途中の家」の読書感想文
主人公里沙子が裁判員に選ばれてからの心の葛藤が読んでいて辛かった。子どもが生まれて泣いてばかりで床に落としてしまった、母乳が出なくて周りの意見が嫌で仕方なかったなど世間一般出産を経験した母親ならほとんど思うようなことが随所に出てくる。
私ももう子どもが大きくなって忘れていたが、嫌で仕方なかったことを読みながら思い出して重い気持ちになってしまった。自分の子を死なせてしまった母親がまるで里沙子本人であるかのように重ねていくところが気持ちが悪く感じた。
仕方がなかったんだ…実親が義親が旦那が誰も助けてあげなかったから死なせてしまったんだというように。確かに里沙子の旦那はいつも里沙子を見下していて、マザコンで冷たい人だというのは共感できた。
実際自分の旦那がこんなモラハラ旦那だったら結婚生活を続けていくことなんてできない。すぐに母親に告げ口したり、里沙子にトゲのある言葉を使ってバカにするなんて。裁判員を10日間も努力し続けながらも育児をしている里沙子の気持ちをもっと考えて欲しいとそう思いながら読んでいました。
裁判員になると見たくない画像や話を毎日聞いて判断し意見を交換しなければいけないことを考えると私に出来るのだろうかとふと思ってしまった。人間だから情にも流されるし、周りの意見にも流されてしまいそうだ。
里沙子のようにみんなと反対の意見を言うのは余程の勇気が必要な気がする。育児に追い詰められていたとはいえ、殺人となると被告に憂慮すべき点を探すほうが難しそうだからだ。そこへ里沙子には反抗期真っ只中の3歳の子どもがいる。
そこは里沙子の旦那が一番に支える人であってほしいのに、里沙子のことを精神的におかしくなってアル中になっているようなことばかり言って追い詰める。里沙子は話の最後の方で離婚という2文字をちらつかせたがその後どうなったのだろう。
子どもが大きくなるのを待って仕事を始めて離婚したのだろうか。子どものいる主婦なら考えるようなことばかりでなんだか読んでいて怖くなってしまった。
(40代女性)
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