読書感想文「幻想古書店で珈琲を(蒼月海里)」
読んだ後に、古本屋に行きたくなった。設定も身近で、だけど、どこか少しファンタジーで、世界観にすぐに引き込まれた。縁を無くしかけた人が訪れる古書店というコンセプトも良かった。古書店に訪れる人に共感するということは、あまりで...
読んだ後に、古本屋に行きたくなった。設定も身近で、だけど、どこか少しファンタジーで、世界観にすぐに引き込まれた。縁を無くしかけた人が訪れる古書店というコンセプトも良かった。古書店に訪れる人に共感するということは、あまりで...
この本は母の照子と父の春男の間に生まれた4姉妹の成長が描かれた、高度経済成長期の大阪が舞台の作品である。私は平成生まれなので、昭和時代のことを直接知っているわけではないが、一家の住む大阪の街の情景や、年々豊かになっていく...
この小説は、ミステリー小説だ。小説の宣伝文章にも「純愛ミステリー小説」と記載がされているが、第一章を読んでいる時には、「これは単なる恋愛小説なのでは?」と思った。しかし第二章に入り物語の語り手となる人物が変わってからは、...
母親との葛藤や思春期のひりつくような痛みを、私はこの本を読んで鮮明に思い出した。女の子から女性へと成長していく過程で起こる身体の変化や、これから起こりうる男性との交わりなどを想像してしまうこと。母親がそれをしたことによっ...
まず印象的だったのが、抒情的で美しい文章表現だ。タイトルにもなっている林檎の樹を始め、様々な植物や自然の情景が印象的な筆致で描き出されていて、色彩豊かな情景が目の前に浮かんでくるようだった。同時に、それが人物の心情も間接...
「理由」の読書感想文 宮部みゆきの「理由」を読んだ。人間の一つ一つの行動には全て理由があり、推理小説においては特に重要な部分だと思っている。実際にニュースで事件が報じられると、人々がその理由を知りたがるだろう。私はこのシ...
事故のショックで毎年1年しか記憶がもたず、事故が起こり両親が他界してしまった時期が近付くと、その悲しみから事故の直前まで記憶が戻ってしまう主人公の前に、突然謎の男が声をかけてくる。「一か月デートして、僕の正体が分かったら...
「中国行きのスロウ・ボート」の読書感想文 一時期、狂ったように村上春樹の文章にハマった。エッセイ、小説、対談、手に入れられるものはあらかた手に入れて読んだ。喉が乾いてがぶ飲みする水みたいにスルスルと村上春樹の世界は私の頭...
「コンタクト・ゾーン」の読書感想文 まずこの本に惹かれた理由は表紙である。本屋でちらっと見かけてすぐに、「見たことがある!」と釘付けになった。なぜなら、現在私が日本としょっちゅう往復している、インドネシアバリ島の絵だった...
「三陸海岸大津波」の読書感想文 この作家の作品は非常に多く読んでいる。この作品は、その中でも非常にインパクトのある作品だった。その理由は、東日本大震災のあったときに、目にしたからである。筆致は非常に冷徹に真実に触れるタッ...
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の読書感想文① 村上春樹のことは色々聞いたり見たりしてましたが、実際読んだことが無くKindleを購入したのをきっかけに始めて読んでみようと思い、このタイトルの小説を読みました...
「奇跡の人 The Miracle Worker」の読書感想文 この本の最初のページに、ヘレン・ケラーの有名な言葉が記されている。本を購入する前から、「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が登場することは知っていた。...
「君が夏を走らせる」の読書感想文 私は、以前から瀬尾まいこさんの作品を読んでいて、なんて暖かい文章を書く人なのだろうと思い、自分の好きな作家のひとりとしていました。 以前は、奇をてらったような作家さんやミステリーなどを好...
「億男」の読書感想文 2018年秋に映画化が決定したという帯とタイトルに惹かれて読了。宝くじで3億が当たった主人公が、大富豪になった学生時代の友人に使い道を相談する。この時点でなぜ高額当選を友人に話してしまうのか、という...
[google-ads] 森博嗣のWシリーズ8作目。人口細胞を入れることで、人間がほぼ永遠に生きられるようになり、人工知能が成熟の域に近づいた、今から約2百年後を描いた世界。研究者のハギリは、自身の研究内容に起因するため...
「鹿の王」の読書感想文 さすがとしか言いようがありませんでした。上橋菜穂子さんの作品には、必ずと言って良いほど地の繋がりではない絆があります。この物語の主人公であるヴァンは、自分と同じように謎の病から生き残った少女を拾い...
[google-ads] すごく概念的な話だと思う。あるところに思い深く書かれた本だけが保管される図書館があり、そこに主人公である「私」が住み込みで働いている、という設定からしてもう概念的だ。終始「私」の視点で話が進んで...
[google-ads] この小説の事を知ったのは、作品で最終的に目指す「海芝浦駅」と言うのを知ったからで、笙野頼子と言う著者の事も、この人の他の作品も知らない状態で、早速買って読んでみたら、すぐにこの世界に引き込まれた...
「私をくいとめて」の読書感想文 率直に言って、全体的に主人公に共感は出来なかった。自分の脳内にいるAとの会話を通して悩みを整理したり決断したりするのは、Aという名前こそつけないものの、私も自分とこうやって会話することはあ...
「坂の途中の家」の読書感想文 主人公里沙子が裁判員に選ばれてからの心の葛藤が読んでいて辛かった。子どもが生まれて泣いてばかりで床に落としてしまった、母乳が出なくて周りの意見が嫌で仕方なかったなど世間一般出産を経験した母親...