「ラブコメ今昔」の読書感想文③
ラブコメ今昔は「自衛隊内の恋愛」をテーマにした恋愛小説であり、自衛隊ならではの恋愛事情と純愛が交じり合い、面白さと胸がキュンと来るような気持ちが同時に感じられた一冊である。
物語は短編集の集まりになっており、一例を挙げると、上司からのお見合いで結婚した熟年夫婦の話、自衛隊は国防を守る仕事のため「帰ってこられない」可能性を相手に理解してもらう話、自衛隊では転勤が多いことから寂しさとどう向き合っていくかを考える話、などがある。
この「自衛隊」ならではの部分が、障害でもあり、乗り越えることでより絆が深められたりと、自衛隊部分が物語に深く結びつくのが、この本の上手な所であると感じた。特に印象に残った話は、「防衛大学校を卒業した女性自衛官」の恋愛について書かれた話である。
自衛隊では、防衛大学校を卒業した時点で、年上の部下を多く持つ特徴を持っている。また、男女比率は、男性のほうが圧倒的に多い。その中で、この女性自衛官は「年上の部下」に恋愛感情を持つ。
しかし、言い換えると「上司で年下」であり、この部分が「好きと言いたくても言えないもどかしさ」に繋がる。これが読んでいて胸が苦しくなる一方で次の展開が気になり、読むペースが無意識に早くなった。
この本では「自衛隊は、自分に馴染みのない職業」と考える方のために、自衛隊の小ネタや豆知識などを散りばめられており、それらには驚き・面白さ・意外さなどを感じさせられた。個人的に驚いたのは、自衛隊での携帯食料、「沢庵の缶詰」である。
通常、沢庵は輪切りが一般的であるが、輪切りでなく「縦切り」になっており、しかも塩気がとても強いとの事で、携帯食料ならではの事情に大変驚いた。
読後の感想として、恋愛小説を読んだ胸が温まる気持ちとともに、例え自衛官が自分に馴染みのない職業だったとしても、「恋愛小説」というジャンルになることで、自衛隊への親近感・そして改めて国防を担ってくれていることを感じることができた。
(30代男性)
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