猫大好き人間の私にとって、猫がタイトルに入っているものはとても興味深いものである。数ある中で何故この本を選んだのかと言われれば、尊敬する池田氏のエッセイ本であったからである。まず本カバーの著者と愛猫の写真を見た時、直ぐに購入を決め、僅か数10分で読み終えたのは自分でも不思議な位だ。
猫にまつわる漫画やエッセイ、実用本は限りなくあるけれど、この本は私の著者への好奇心が主であり、その上猫という共通点が何よりも嬉しく感じられたのである。愛猫のたぬきちゃんがお風呂場で溺死した下りでは涙が止まらなかったし、何故21才まで生きて、そのような亡くなり方をしなければならなかったのかが悔しくて仕方がなかったのだ。
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家猫は野良猫より寿命が長いと言われているが、21才はウルトラ級である。著者が愛猫と一緒に燃やされてもいいと言ったのは、その時は本当に本心であったに違いない。猫は素っ気なくて気まぐれと思われがちだが、この本にも綴られているように、飼い主が悲しんでいる時、そっと傍らに寄り添い、涙を舐めてくれるやさしさがある。
少ししょっぱい水分を欲しているだけという人もいるが、猫派としてはそれは否定したいものだ。愛猫を失ってペットロスになった場合、時が解決するのではなく、日増しに悲しさが増し、猫は猫で解決しなければならないということになる。それは犬の場合でも同じである。もう2度と失う悲しみを味わいたくないと思っていても、又新たに命を迎える人がほとんである。
著者もごんちちゃんとの出会いが力を蘇らせ、後の執筆活動へと繋がるのである。私がこの本で得た物は、猫という生き物の本質や人との関わりなどであるが、猫の存在が、著者の生きる活力を見出しているのではないかということである。自分の喜びを体全体で表現する犬とは違い、どこか控えめで愛情表現が下手な猫ではあるけれど、思わぬ行動をとってハッとさせられる所もあるのが猫である。
(60代女性)
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