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読書感想文「放課後の音符(山田詠美)」

当時高校生だった私は、ここに登場する主人公の女子たちに共感する部分が非常にたくさんあったことで、居心地の悪い青春時代が救われたことを覚えている。高校で生徒達が楽しく過ごす様子にはどうも馴染めず、私は一人、浮いていたと思う。
 
一人で行動をしていることがほとんどだった。30過ぎた今は、無理に合わせるよりその方が楽だったんだろうと思う。先生に恋をしたこともキスをしたことも、高価なアクセサリーをプレゼントされたこともあった。爪にマニキュアは塗らなかったが、ハイソックスの下にはアンクレット、掃除もしたことはなかった。
 
夜には不特定多数の男達と遊んでいたし、その一環だと思うが当時は真剣に恋もした。誰かに反発したい気持ちは無いし、大人ぶりたいわけもなく、ただただどういうわけか私は他の生徒達とは馴染めなかった。私は私、周りに合わせたくない思いは強くあるのに、合わせられない自分に劣等感もある。
 
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年齢的に、もちろん将来にも漠然と不安がある。自分でもよく分からない気持ちが入り交じる中、私の高校生活はしっくりくる居場所をいまいち掴めずにふわふわしていた。この小説に登場する女子達は、そんな自分と重ねられたから、ふわふわする日常でも、就寝前の布団の中では、自分の居場所と言えるかもしれないほど、この小説に没頭できた。
 
じっくり読んでいた。登場する女子達は皆綺麗に書かれていたし、自信もあるように当時の私には映った。例えそれが小説の中のお話であっても私は嬉しかったし、安心したんだと思う。周りに、無理に合わせなくても、自分は自分で居たらいいと、支えになった。今思うと、私のような不安が、登場する彼女達にあったのか無いのか、あったのかもしれないと思える。
 
あの時の私がこの本に出合えて本当に良かった。結婚し、出産し、30を過ぎて母親になった今、もう一度彼女たちを見てみたい。どんな気持ちになるんだろうか。昔の自分と向き合うことになるのか、娘を見ている感覚になるのか、微笑ましい気持ちになるのか、もう一度読んでみたいと思っている。
 
(30代女性)
 
 
 
 

放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)
山田 詠美
新潮社
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