読書感想文「忙しい日でも、おなかは空く。(平松洋子)」

とにかく自炊をしてご飯が食べたくなる本。もともと料理や美味しそうな食べ物の描写がある本が好きである。それが物語でもエッセイでもかまわない。そんな本のタイトルを探して出会ったのがこの本だった。出会いは図書館だったが、読み終わった後即買いに走るくらい気に入った本である。
 
まずタイトルのインパクトがすごい。『忙しい日でも、おなかは空く』である。当たり前のことのようだが、意識して言葉にしたことがあっただろうか。タイトルを見た瞬間、首がもげるほど頷いた。

 
 
後で知ったが、作者は食関係のエッセイを多く手掛けている、エッセイの名手であった。この本は短いいくつものエッセイが載っており、エッセイに出てくる料理のレシピが載っているという本だ。
 
載っているレシピは今すぐにでも作れそうなシンプルなものが多い。その実、素材の味をしっかり引き出し、きちんと料理に向き合って手をかけている。普段なら面倒くさいと思ってしまい、省略するような手順でもしっかりこなそうと思えたのは、エッセイの文章の巧みさのせいだろう。
 
エッセイを読んでいて感動するのは、この作者が料理の一つ一つに真摯に向き合っているのがひしひしと伝わってくるからである。
 
料理研究家や料理人など料理を作ることに向き合う人は、多く書籍やテレビで見てきたが、料理を食べることに関して、ここまでしっかりと考えている人に初めて出会ったのは衝撃だった。
 
おそらく「食べるのが好き」から始まった作者の料理は、おいしいものを食べるためにどこに手間をかければいいかに始まり、おいしいものをおいしく作るための道具や、おいしいものをおいしく食べるための食器などにも繋がっていく。
 
食べ物を主軸としたエッセイなのに、不思議と作者の生活まで見えてくるようだ。本人は食い意地がはっていると書いていたが、その生活はガツガツした貪欲なものではなく、洗練されたものに見える。素敵で思わず真似したくなるほどである。
 
『忙しい日でも、おなかは空く』とあるが、私はむしろ「忙しい日ほど、おなかは空く」である。
 
そういった時は、ついつい自炊の気力も萎えがちだが、この本を開くと一品くらい頑張って作ろうと思える。我が家でご飯を炊こうと思える。ついついだらけがちな私の背筋を伸ばしてくれる一冊だ。
 
(30代女性)
 
 
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