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読書感想文「ハル(瀬名秀明)」

 
映画化もされ大ヒットした「パラサイト・イヴ」で知られる瀬名作品。正直読み始めた時は、日本中に衝撃を与えたアノ瀬名作品だとは気付かないほどに、清らかで澄んだ空気に満ちた世界観だと感じていた。間近に迫る「あした」の物語との説明があるとおり、本作のひとつのテーマでもある手塚治虫が描いた正義の心を持つアトムのようなロボット、
 
あるいは人間に反乱を起こすようなロボットが出てきてもおかしくないほどのテクノロジーを有する世界を描いていることは、日常生活にロボットが入り込み、小さな子供からお年寄りまでスマホや遠隔操作で身の回りを便利に操作している現代において、今こそ読むべきだと感じさせられた。
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中盤まで読み進めると、この作品には一貫して静かな恐怖や言い知れぬ不安のような物が流れていることに気づく。それと同時に理想のヒューマノイドへの憧れや希望なども垣間見える。人間はなんて無邪気で無知なんだろう。何度も理想を追いかけ途中でやめたのにはわけがあるのに、そのわけを見ないフリをしてまた人間本位な考えで無理筋を通そうとする。
 
そんな人間のおろかさや可愛さを訴えている作品だと思った。またこの作品の中では、私たち人間が幸せを追求する限りはブチ当たるであろう「テクノロジーの最果て」にもスポットを当てている。どうして人間はロボットをひとの形に似せるんだろう?似せることに意味はあるんだろうか?作中ではヒューマノイドを人間に近づけようと精巧にすればするほど気持ちが悪くなる、
 
いわゆる不気味の谷のような問題にぶつかっていた。当初の目的は親しみを持ちやすいために近づけるのだろうが、あまりに近くなりある一定のラインを超えると途端に恐ろしくなってしまうのだ。そこでロボットに心はあるのか?という疑問が生まれる。
 
現代のように無いに決まっているとは言い切れないほどにテクノロジーが進化した時、ひとはどのようにそれを検証し、またどちらにせよ結果が出た時には受け入れることが出来るだろうか?自分たちの作り出したものを、ただの身勝手でまた壊していくんだろうか?
 
近い未来、ロボットがほぼ全ての職を奪うとのニュースが出た今日、この作品を生きた人間やロボットたちを見て何か感じるべきだと思った。
 
(30代男性)
 
 
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