ペリー来航から明治維新にいたる幕末の歴史というのは、以前「竜馬がゆく」をはじめ、司馬遼太郎の歴史小説を一通り読んでいたので知っていたつもりだったが、それも中学生の頃で、もうウン十年経過している。
忘れていることも多くなり、簡単にその流れを再確認したいと思っていたところ、本屋で目にしたのがこの本だった。早速読み始めると、もともと一般人向けの歴史講座を元にしているせいか、読みやすいことこの上ない。
しかも、半藤一利さんがアカデミズムの人でないせいか、下手に通説などにこだわることなく、自分の意見をバシバシ述べているので、その独自の視点も楽しめた。
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半藤さんはもともと文藝春秋の編集者として、坂口安吾や司馬遼太郎、そして松本清張に接してきた人である。彼らの歴史に対する姿勢というものを身近に学んだ経験がこういう通読歴史ものに活かされているのだろう。
幕末が面白いのは、大きな事件が毎年起こっているため、物語的な意味でのドラマ性に富んでいること、そして感情移入がしやすいため、色んな人が色んな意見を述べることで百家争鳴の有様を呈している点である。
ここで描かれる徳川慶喜、勝海舟、高杉晋作、孝明天皇などは、他の作家が描くとまた違った姿が見えてくると思うが、半藤氏の言葉によるその人間像は輪郭がはっきりしていて、彼らがどういう性格を持っていたかが読んでいて頭に浮かぶ。
おそらくこれが学者ならここまで断定できないと思える部分まで言い切っているので、読んでいて爽快な気持ちになる。もちろん、これ1冊で歴史を知ったつもりになれば、一方的な意見すぎるとしてちょっと問題が起こるかもしれないが、
通史として割り切るなら、これほど面白い幕末についての歴史本は滅多にないと言い切れる。これが気に入ったら、同じ作者による「昭和史」の2冊を読むのがおすすめ。ただ、昭和という時代はまだまだ生臭いところがあるので、イデオロギーの違いで反発を感じる人もいるかもしれない。
(50代男性)
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