読書感想文「ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白(後藤健二)」

この本は、ジャーナリスト後藤健二さんがイスラム国によって人質にされ、殺害されてしまった事件が起きた際に、後藤さんが発信し続けたことを知りたいと思って手に取ってみた。あまり紛争地域への関心がなく、知識もほとんどなかったが、この本を読んで自分の知らないところで大変なことが起きていることを知り、本当に驚愕した。
 
この本の舞台は中東ではなく、アフリカのシエラレオネという国であるが、内紛が起きており、質の良いダイヤモンドの産地であるにもかかわらずその利益はすべて反政府軍の戦争資金になっているという。戦争のために無差別に一般市民を襲い、物語の主人公ムリアのように子供を兵士に仕立て上げ、殺人をさせているという恐ろしい実態を知った。
 
大人が子供に無抵抗の一般市民の殺害を強要するなど、日本では考えられない。第二次世界大戦の時ですら、少年兵は日本にもいたが、無抵抗の市民の殺害など強要されていなかった。理性を失い、話し合うことで主義主張の違いを解決しようとしない大人たちの暴走は本当に恐ろしい。それに対して、国家に抑止力がない点にも憤りを感じた。

 
 
後藤さんは、村を襲われて重傷を負った被害者、ムリアをはじめとする、村を襲って加害者になった経験がある少年たち、また、そういった元加害者の少年の中で何とか戦列を離脱し逃亡に成功した少年を保護し、構成する学校を取材されている。
 
危険極まりなく、また物資も乏しい中、世界中にこういった「子供に殺人をさせている国」の実態を発信しようという勇気に、ジャーナリスト魂を感じた。後藤さんの著書がなかったら、私は多分アフリカにこういう国家があることすら知らずに生活していただろう。
 
後藤さんは「関心を持つことが戦争を失くす第一歩」というのが信条だったらしいが、確かにこの国際社会の中では、いつ何時同盟国同士の主張の違いで戦争に巻き込まれるかわかったものではない。社会情勢、世界情勢に関心を持つことは非常に大事だと感じた。
 
また、後藤さんの、日本の子供とは全く異なる価値観・環境で生活しているムリアへの配慮あるインタビューや、食事、学校生活を共にしているレポートから、彼の子供に対する気づかいや愛情を感じた。「未来を担う子供のために、戦争のない社会作りをしたい」という強烈な信念のようなものがこの本には息づいている。
 
後藤さんのように真に平和を願って発信を続けた方が、紛争地域でお亡くなりになったことは残念でならない。後藤さんのご冥福をお祈りすると共に、この本を通じ沢山の人に後藤さんの思いが伝わると良いと感じた。
 
(40代女性)
 
 
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