読書感想文「超合金の男 -村上克司伝-(小野塚謙太)」

超合金の男。本書は70年代80年代に幼少期を過ごした人間であれば耳にした事があるであろう名作玩具「超合金」を開発した、デザイナーであり玩具開発者「村上克司」氏の商品開発インタビューをまとめた書籍である。
 
氏の仕事は数々のロボットアニメのロボットデザイン、戦隊シリーズ、宇宙刑事シリーズ、仮面ライダーといった特撮ドラマのキャラクター開発とマーチャンダイジングの確立、そしてバンダイ社のオリジナル玩具のデザイン開発と多岐に渡り、その影響力から業界内では「天皇」と呼ばれる人物である。
 
本書はそんな氏の玩具開発裏話を通して氏の仕事の本質に迫ろうというものである。本書を読みすすめるととにかく、村上氏の仕事に対する妥協の無さに感服する。それは自身にもそうだが他者に対してもである。

 
 
アニメで上がって来たセル画がデザインと違うと書き直させた話や、戦隊ヒーローの粘土原型に、造型のプロを差し置いて自らヘラを入れた逸話など記されている。私自身も商品企画を生業としている身ではあるが、ここまで他者と戦い、巻き込み、立ち向かっていく姿勢を持つことは、正直、組織人としては気が引けるし、憚られる部分である。
 
しかし氏は自身のクリエイティブを全うする為に、率先してそれを行う。氏のそうした姿勢を見るに、クリエイティブを生業にするものは、情熱を持って仕事に取り組まなければならない、妥協をしてはならない、というような叱咤を受けるような気持になってしまう。
 
また、氏のとにかく新しく、見たことの無い物に対する執念にも驚嘆する。氏の生み出す玩具は、それまでに前例の無いものばかりで、その実現にもかなりの労力を割いている。それこそ超合金でさえ、多くの失敗と時間と試行錯誤の末に出来上がったものだと書かれている。
 
氏の開発環境はまた特殊なのかもしれないが、粘るにしてもビジネスとしてやはり守るべき線がある訳で、そんな中で損益分岐を上げてでも開発に力を注ぎ、新しいものを仕上げようという気概に恐れいってしまう。最後に、その発想力にも驚かされる。
 
その瞬間的に生み出される発想と連想力はどのように培われたのか、こういうと怒られてしまうかもしれないが、非常に羨ましい限りである。そしてそれを成し遂げる力にもプロとして尊敬する面がある。
 
本書は、氏のこれまでの仕事のファンが楽しめるだけの本ではなく、仕事として、プロとしてどのような気持ちで仕事をするべきなのか書かれたもののように感じる。仕事に行き詰まったり、悩んだときは本書を読んでエネルギーを貰っている。
 
(30代男性)
 
 
[amazonjs asin=”4048677985″ locale=”JP” title=”カラー版 超合金の男 -村上克司伝- (アスキー新書)”]
[sc name=”post-under-massage”]
 

この感想文にコメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


CAPTCHA


シェアする