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読書感想文「母性(湊かなえ)」

読書感想文「母性(湊かなえ)」

「母性」の読書感想文①

この本は非常に胸が痛くなった。なぜなら主人公であるルミ子の気持ちが分かってしまうからだ。母親に対する思いというのは十人十色であるとおもうが、私の母親に対するそれと主人公ルミ子のそれとが非常に似ているのだ。母親に対して揺るがない愛情を抱いているルミ子。
 
それは自分の娘が産まれても変わることはなく、寧ろある事故により家が燃えてしまった際、娘ではなく母親を助けようとする。が、しかし母親によってそれは否定され娘を助けることになる。結果、母親は亡くなってしまうが、ルミ子の母親に対する愛情は消えることはない。わたしには娘こそいないが、このルミ子同様、母親に対する独占欲というか愛情が強すぎるという自負がある。
 
日頃から、もし母親に何か起きたらどうしようという不安がある。そんな時にこの本に出会い、あー、私もルミ子と同じなのかもしれない。私ももし娘がいたとして、娘を母親より愛することができないかもしれない。そんな気持ちがさらに強くなってしまった。この本は娘も、清佳の立場からもかかれていて、母親にちゃんと見てもらえていない、愛情を注がれていない悲しい、切ない思いが伝わってきて、胸を締め付けられる。
 
しかし、清佳はそんな母親に対してしっかりとした愛情を持っており、様々な場面で母親を守ろうとする。その健気な姿に更に胸を打たれた。意地の悪い祖母、叔母、争いごとには極力関わりたがらない父親。そして自分を本当に愛しているのかよく分からない母親。そんな奇妙な、いや、不気味な、でも現実にあり得そうな空気感が、本の中からひしひしと伝わってくる。
 
読み始めはルミ子に共感し、自分はおかしいのではないかと不安になり、後半は清佳の健気な姿に、頑張れ、頑張れと応援するような気持ちで読んでいた。読みきった後のなんとも言えない複雑な気持ちを無理矢理文字に起こすなら、「不安」だろうか。わたしもいつかルミ子のように母親という立場になったとき、清佳のように娘に辛い思いをさせるのではないかととても不安になった。この本は私にとって良い教訓になった。
 
(20代女性)

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