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読書感想文「銀の朝、金の午後(藤堂志津子)」

この本は60代高齢女性が1人暮らしする様子がずっと書かれています。イメージ的に独居老人とはさびしいとかつらいとか悲しいとかマイナスなものしか思い浮かばないのですが、この本はそういうことはあまり感じない雰囲気でした。近所に仲の良い同様な1人暮らし女性が複数いて家を自由に行き来できて、好きなだけお茶飲んで話に花を咲かせて疲れたら帰る、たまに子供や孫が遊びに来て、それ以外は自由で気ままな1人暮らし。
 
同居して嫁に遠慮して小さく暮らしてるよりも楽でいいなと思いました。もちろん健康でそれなりの収入があるということが前提なんですが。現代的には60歳ってまだ若いって時代になりました。人生80年先はまだ長いです。さびしい悲しいと嘆きながら残りの人生を生きているよりも明日は死ぬかもしれないと思いながら今を楽しく生きたほうがいいのだと勉強になりました。私は今40代ですが、20代などに比べると「死」というものが少し身近に感じるようになりすごく怖いと思っています。
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何が怖いのかわからないですが、死というものに対して恐怖心があります。主人公のトヨノさんは60歳なので私よりもさらに「死」に近付いてさらに恐怖心が増しているのだろうと考えつつ読みましたがそうではありませんでした。死ぬことが怖くなくなるというのです。長く生きてると「もういいかな」と思えてくるのだそうです。そろそろお迎えがきてもいいかなって思うのだそうです。たぶんあとの人生は毎日同じことの繰り返しだからいいかげん飽きるのでしょうか?
 
私もすでに家事と育児には飽きていますが子供を一人前にするまでが役目と思っているのでまだもういいかなではないですが、お迎えがくることに特に怖いとも思ってないようです。やはり旦那さんが先に逝っていて、待っていてくれるという気持ちからなのでしょうか。夫婦仲がよくないと無理な話ですが・・・私の父は70代ですが、死への恐怖はものすごく病気かもしれないという状態のときは毎日不眠でした。恐怖を感じるうちはまだ人生に未練があるのでしょう。現役で仕事をしているからかもしれません。
 
この本を読んだときは年を取ることへの恐怖はなくなったのですが、自分の父をみて「人それぞれか」と悟り、結局恐怖心を持ったまま亡くなる場合もあるのかもしれないと覚悟を決めました。去年義父が亡くなり、義母は実家に1人暮らしになり、トヨノさんと同じ状態になりましたが、義母はさみしがりやでぼーっとしてるところがあるので心配でしたが、なんだか最近生き生きとあちこちでかけたり兄弟が遊びに来てお茶したり趣味を作ったりして楽しくやっているようです。
 
女性というのは夫亡き後も意外とたくましく適応していくのだと安心しました。逆に妻を先に亡くした夫というのはみじめで寂しそうな人が多いように思います。この男女差はどこから生まれるのか、興味があります。私は現状子育てと家のことで友人は二の次というかほとんど友達がいません。家族がいるからいいと思っていたのですが、いつか必ず人は死ぬのだから夫が先に死んだら私はすごく孤独になるかもしれないと背中に冷や汗が出ました。
 
これからの課題は家族ばかりではなく新しい友人や古い友人でも家族以外のつながりも作っておかないと孤独な独居老人になりうると思いました。
 
(40代女性)
 
 
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