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読書感想文「阪急電車(有川浩)」

「阪急電車」の読書感想文④

この作品はひとつの作品ではあるものの様々な人にスポットを当てている。その全てが女性ではあるものの、多くの感覚を得られる。婚約者を寝取られた女性、ダメ彼氏に縛られる大学生、孫と過ごす老婦人、大学デビューに失敗した大学生、大学受験を控えた高校生、主婦友の付き合いに振り回される主婦、いじめられている小学生。
 
実際に自分が体験したことに近しい境遇もあれば、まだまだ体験したことのない境遇の人物もいた。中でも心に響いたのは孫と過ごす老婦人だ。私自身、まだ老婦人と呼ばれるには遠い年齢だが、あれを年の功と言うのだろうか。全ての言葉がしっくりと心の奥に入り込み、本を読み終わってからもずっと、心の奥に居座っている感覚だ。
 
孫が泣き止まずにいると、泣いた原因が孫によるものではないので、「泣きなさい」と言う。でも、泣いてもいいが「自分の意思で涙を止められる人になりなさい」と言う。子供には少し難しい言葉かもしれないが、年や性別に関係なく、みんながみんなこうありたいと思うのではないか。
 
このセリフを読んでから自分の意思で涙を止められるように頑張っては見るもののなかなかうまくいかない。小さいときからこんなことを言ってくれる祖母がいるなんてとても幸せだし、どんな大人になるのか。この小さい孫が大きくなった話も読んでみたい。
 
そして1番感情移入をしてしまったのが婚約者を寝取られてしまった女性。自分とは無縁の出来事だったが、なぜか共感できる部分が多かった。「お前は強いから泣かない」と勝手に決めつけられ、言ってしまえば被害者とも言える立場にありながら、悪者のように扱われる場面では、怒りがこみあげてきた。
 
悪いことをしても弱い人、いや、弱そうな人には優しいこの世の中で、強そうに見える彼女は本当に生き難いだろう。そんな深い心の傷を埋めるのではなく消すようにリセットして前向きに生きていく様は本当に清々しい。私も何か嫌なことがあったら、その傷を埋めるのではなく消してしまおうと思った。
 
(30代女性)

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