「阪急電車」の読書感想文③
電車に揺られながら、文庫本を開いている時間が好きだ。ちょっとした旅行に行くときは、わざと鈍行に乗ってゆっくりのんびりと、ガタガタと揺られながら文庫本を読んでいる。ふと顔を見上げると見たことのない風景が広がって、本のなかの世界とどこかへ行く今の自分の状況を行き来することを楽しむ。
有川浩著書の「阪急電車」はそんなときに読むのにはうってつけの本だ。なぜならこの本は駅ごとの素敵なストーリーが盛りだくさんの、物語を背負った小説だから。「宝塚駅」ではなにやら新たな恋が芽生えそうな男女があり、「宝塚南口駅」ではものすごく目立つ純白のドレスを着た女性が乗り込み、「逆瀬川駅」で乗ったお婆さんが純白のドレスの女性になんとも素敵なアドバイスを与える。
電車が駅に停まるたびにドラマが生まれていき、読んでいるこちらまでにやけてしまいそうだ。電車に乗り合わせることは本当に偶然で、普段は言葉も交わすことはないのだけれど、相手がギスギスしてどんっとぶつかってきたりするとその日が一日不快になったりしてしまう。
逆に、たまたま目が合った赤ちゃんが笑いかけてくれるととても癒されたりする。人と人はすれ違っただけでも影響され合っているのだなと思う。「一人で、あるいは友達や恋人同士、家族連れ、仕事関係、ありとあらゆる身分、ありとあらゆる組み合わせの人々がコンコースを早足に横切っていく。
その一人一人がどんな思いを持っているか、それは歩いていく本人たちしか知らない。」みんなそれぞれちょっとずつ不満を抱えていたり、もやもやしたものを抱えたりしながら電車に揺られていく。
電車に乗っている人たちがほんの少しの間だけ触れ合って、その人の抱えているものがちょっぴり楽になるようなストーリーたちがわたしを安心させてくれた。全編を通してなにか急展開があるわけでもないけれど、本の中の人々が阪急電車に乗ってちょっとずつ幸せになっていくごとに、わたしも不思議と幸せのおすそ分けをもらっていた。
(20代女性)




















ㄟ( ▔∀▔ )ㄏイミフ