読書感想文「今日の芸術―時代を創造するものは誰か(岡本太郎)」

芸術とはいったい何なのだろうか?そんな問いかけを持ったことはあるのではないか?写真のようにリアルに描いた絵が芸術的にすぐれているのだろうか?宗教的な絵画が素晴らしいのか?世間を騒がすような衝撃的な絵が良いのか?いったい芸術とはなんなのだろう?

 

私にはそんな疑問があった。岡本太郎は、芸術とは毎日の食べ物と同じように、人間の生命にとって欠くことの出来ない絶対的な必要物、むしろ生きることそのものであると言っている。この本を読んで、私は人間にとっての幸せとは何か?と問われているような気がした。社会的な生産のため、私たちの多くは会社に行き、物を製造し、一人一人の働きが部品化されている。

 

本当に人間らしいとはどういう生き方なのだろう?人間は大量に物を作り、ゴミを作り、地球を汚している。もっとシンプルに生きられないものかと思ってしまう。この本を読み、芸術とは何か?を考えると、私は人間の生き方とは何か?ということを考えてしまう。太郎は高い車を所有したり、便利な家電を購入する等、外からの条件ばかりが自分を豊かにするものではないと言っている。

 

 

 

趣味や娯楽は胸がスーッとして楽しいが、どんなに遊んでも何か空虚なのだとも言っている。自分自身の生き方、その力をつかむことが重要らしい。もっと純粋な猛烈な営み、自分は全人間であることを気づかせてくれるきっかけが、今日の芸術の役割なのだろう。自覚さえ持てばそこに芸術がはじまる。芸術がもし特殊なものであるなら、これだけ深い人間的な問題になるはずがないと言っているが、私もそう思う。

 

美術館を訪れる人は沢山いる。太郎は絵画はすべての人の見るものであるばかりか、自分でも作らなければならないものだと言う言葉に感銘した。人間には何か手を使って作ることが必要なのではないかと思うことがある。便利な家電、パソコン、ゲーム、現代人は体を使うことが少なくなっている。

 

特に「子供と絵」について書かれている所が心に響いた。どんな子でも小さなころは、さかんに絵を描きまくる。紙がなければ壁や床や所構わず描く。なのに、小学校の図工の時間に誰かと比べて劣等感を感じ、高学年になると恥ずかしがり、なかなか自由にのびのびとした絵を描けなくなる。太郎の生きた時代ほどではないが、現在の日本の学校での教育にも何か通じるものがある気がする。

 

(40代女性)

 

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