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読書感想文「いま忍者―この知的変身術(初見良昭)」

この本は日本国内よりも世界各国で有名なニンジャマスターの著書である。内容は哲学書と説明したら分かりやすく、現代人の悪い意味での固定観念を打ち破るような内容が書かれている。著者自身が忍術流派の宗家なので、その文章は日本の戦国時代の話や人類の戦争に関する逸話などが非情に多く書かれているが、だからと言って平和に生きている現代人に何の関係も無いわけではない。むしろ先の見えない現代だからこそ昔に生きていた人々の事実を知ることが重要だと思う。
 
本書の内容で忘れられない話は数え切れないが、中でもいくつか挙げるなら鳥取城の苦戦の話がある。私はこれを読んだ時のことを忘れられない。歴史に詳しい人間ならご存知かもしれないが、豊臣秀吉による兵糧攻めによる城攻めの話である。兵糧攻めで食べる物が無くなった城兵たちが食える物は何でも食べ、挙句には自分と同じ人間さえも食べたという地獄絵図の話である。
 
城主の吉川経家は降伏し切腹して果て、秀吉は生き残った者達に粥を振舞って皆殺しにしたそうだ。人間というのは飢餓にある状態でいきなり食べると死ぬというのを計算に入れたサルの知恵である。私は自分というか、現代がいかに恵まれた時代であるかを再認識せずにはいられなかった。食事を残すようなことを私はしないが、現代で食べられることに感謝している人間が一体どれほどいるだろうか。
 
家庭によっては食べ物が余ることがあるが、それは食べる物に恵まれすぎているからに他ならない。事実、世界中だか先進国だけでも食生活の水準を日本と同じにしたら、食糧供給が追いつかなくなるという話もあるくらいだ。
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他にはこの世界ではいかに悪が支配しているか、という話が本書に載っている。イギリスの軍事研究家リデルハートの発表で、ギリシャ以来の大戦争30の内の名戦闘280の内容を調べたという話がある。その結果、正攻法で勝利したのはなんとたったの6回だけで、残りの274回の戦闘は軍事上正攻法でない戦術で占められていたことが分かる。
 
戦争ほど正道が役に立たないということだが、著者自身も触れているがこういった話は何も戦争に限らないということだ。いかに平和な日常で生きていても人間の悪しき部分を感じない人はいないだろう。昔も今も正しいことが1つしかない中で、47も悪いことがある。誰もがこの47の悪の存在を痛感するし、成功するには47の悪を無視出来ないということだ。人間はそういった悩みに耐え抜いて強くなるということだ。
 
私は学生の頃、歴史を勉強するのが嫌いだった。それはただの暗記科目でしかなく、教師が内容を詳しく教えなかったからだ。しかし本書を見て歴史や戦争を改めて勉強する意味を見出した。人類の歴史を見直すことで、新しい未来を作れるかもしれない。
 
(20代男性)
 
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