太平洋戦争に関する書籍を何冊か読んだが、この本ほど衝撃を受けたものは未だかつてない。この本を書かれた高崎氏は入隊以来、中国戦線、フィリピン作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、イラワジ川大戦を経験した歴戦の勇士である。軍のトップにいた人ではなく、長年にわたり上等兵として軍にこきつかわれた人が書いたところが興味深い。
激戦として有名なガダルカナル、インパールの両方の作戦に参加した運の悪い人がいたとは驚きであった。勿論、高崎氏が目にした光景は私の想像をはるかに超えた惨状であった。本の記述には時代遅れの武器で戦わなくてはならない兵士達の口惜しさがつづられているが、飢えとの苦しみに多くのページをさいている。
「高崎上等兵殿、自分が死んだら、みんなで私の肉を食べてください」「吉井上等兵は平気でウジ虫を食べた。私と竹内は、おも湯の中にシラミをたっぷり入れて食べたが、まだウジ虫を食べる気にはなれなかった。」
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戦争とはどういうものなのか、この本が私に教えてくれた。最近は戦争を美化したゲームやアニメがたくさんあるが、戦争をかっこいいものと誤解する若者が出てくるのではと危惧する。英雄なんかいない。みんな飢えて、病気になってウジ虫に食べられて死んでゆくだけである。
昨年、安全保障関連法が成立した。自衛隊の活動は拡大する。平和を唱えてきた日本は今変わりつつある。はじめこそ平和活動のお手伝いかもしれないが、それがきっかけとなって大きな戦争に巻き込まれていく可能性もある。本の最後で高崎氏は述べている。「人類は戦争などしちゃいかん!」と。
「日本は」ではなく「人類は」と書かれていることに注目したい。日本人だけでなく世界中の誰一人として、高崎氏のような経験をさせてはならない。世界中から戦争をなくすことは容易ではない。でも不可能ではないはずだ。高崎氏らが残してくれた大切なメッセージを若い人達に伝えていけば、後世の人だってきっと気付くはずだ。戦争ほど愚かな行ないはないということを。
(50代女性)
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