「手紙」の読書感想文⑤
まず主人公の兄が罪を犯した理由に疑問がある。弟のためとはいえ、そこまで情に厚い人間がどうにかできそうな金額の学費のために強盗をしようと思うだろうか。働いて稼ぐ方へ意識が向くと考える方が納得できる。
殺人は勢いだったとしても、強盗に入ろうという発想の人間ではないと思うのでそこがいまいち無理があるように感じた。ただ、人間はそれほどまでに幼稚な一面もあるというのも否定はできない。どんなに聡い人でも愚かな選択をしてしまう。
気をつけろ、正しいばかりで生きるのは難しいことだぞ、ということを伝えようとしているのかもしれないと捉えた。兄の犯罪によって生きにくくなってしまった弟を見ているのはとにかく不快で辛かった。
それと同時にのんきに手紙を書き続ける兄がやはり幼稚で現実をわかっていなく、とにかくわたしをいらつかせた。
どんなに後悔しようと手を合わせようと刑務所にいる限り世の中の非情な仕打ちを食らうことはない。弟は犯罪を犯した兄の何倍も傷つき、優しい兄とこの苦労が想像できない幼稚な兄の両面で感情が行き来し、罪悪感と憎悪で苦しみながら生きていくのであろう。
最後に兄に気持ちが寄り添う描写があるが、それほどまでに兄弟としての気持ちが離れて客観的に見られるようになっただけではいかと感じた。そうする事が自分を救う手段でもあるため意識的に客観的に兄を感じることで少しでも楽になろうとしているのではと。
それが本当の解決ではないとしても、それによって弟の気持ちが軽くなるのであればよかったと思う。この本は思春期の子どもにぜひ読ませたい。
人生において道を踏み外すとこんなにも苦労する、家族に迷惑をかけ、後悔してももう遅いという最悪な状態になるんだということを知るには早すぎるどころか早い方がいい。わたしはそう思って最近反抗気味の中学生の息子にこの本を渡した。
今を真面目に生きることがどれだけ難しく大切なことか、親としてのメッセージのつもりだ。
(30代女性)
う~ん… … …
はじめ 中 終わり どこ?