「手紙」の読書感想文②
この作品を読んで、兄弟・家族について考えさせられた。犯罪を犯して刑務所に入った兄を持つ弟の人生は想像を絶するものであった。もちろん私自身は体験したことのない出来事なので、自分に置き換えて弟の気持ちを想像することはできなかった。
普通で考えると犯罪者を家族に持つ人間として後ろめたさを抱えながら生きていかなければいけない。それは計り知れない苦労だと思う。この作品のポイントは、兄がただ単に犯罪を犯したとういうことではないところにある。
弟の学費欲しさに強盗をしてしまった。その理由には同情できるが、犯罪は犯罪なので世間的にはもちろん許されない。弟もこんな兄を嫌いになれないのはそういった事実を知ってしまったからではないだろうか。
しかし、自分の人生は兄のせいで何もかもうまくいかない、その葛藤は読んでいて心がしめつけられた。獄中から兄は弟へ手紙を何通もだす。しかし一向に弟から返事は返ってこない。兄にとって唯一の希望だった弟からの手紙が来ない。
その時の兄の気持ちを思うと、やりきれない気持ちになる。兄からの手紙に弟はどのように思ったのか。嬉しかったのか、それとも迷惑だっのか、おそらく両方だと思う。だからこそ弟は兄へ返事を書くことができなかったのではないだろうか。
弟を差別的な目でみる人間が多いなか、分け隔てなく接してくれた人物もいた。それは後に妻になる女性と、共にバンド活動をしてきた友達だ。女性のほうは犯罪を犯した兄に対しても理解があり、何度か弟のふりをして手紙に返信をしている。
弟にとったらただのありがた迷惑にすぎないが、兄にとったらどうだろう。最終的に兄は誰かが代筆した手紙だとわかっていたが、それでも自分の手紙に返信がきたので嬉しかったであろう。
それと同時に、世間から差別されている弟に1人でも理解者が居てくれたことの方が兄は嬉しかったのかもしれない。
そしてもう1人の理解者の友達は、ラストで兄のいる刑務所へ弟と共に音楽ライブの慰問へ向かう。弟は最初ためらっていたが友達の一言で決断できた。そして刑務所の舞台上で数多くの囚人の中から兄を見つけ出した時、弟は何を思ったのだろう。
そこで小説は終わっているのであとは推測になるが、単純に生きている兄を見れて嬉しかったのだと思う。犯罪を犯しても自分のたった1人の大切な兄にかわりはない。
この作品が伝えたかったことはたくさんあると思うが、やはり1番は家族というのは一生きってもきれない大切な存在であるということだと思った。
この作品を通じて当然のことだが、私もかけがえのない家族を一生大切にしていかなければいけないと感じた。
(20代女性)
う~ん… … …
はじめ 中 終わり どこ?