「図書館の神様」の読書感想文②
学校の文芸部を扱った作品を読みたいと思い、この作品を読んでみた。しかし、この作品に登場する文芸部は通常イメージする文芸部とは大きく異なる。まず、部員がたった一人しかいない。しかもその部員は中学校時代サッカー部に所属していて、運動神経が良いのにもかかわらず、文芸部に入っている。
しかし、そのたった一人の文芸部員の三年生垣内は本当に文芸を愛していた。次に、部活動の顧問が自ら望んで顧問についたわけではないということだ。この作品は文芸部の顧問になった高校の国語講師、早川清が主人公である。彼女は紆余曲折あって高校の国語講師になったが、学校の指示で文芸部の顧問になってしまった。
彼女はバレーボール部の顧問になるために講師になったようなものだからなおさらである。しかし、その作中に見られる主な文芸部の活動は、顧問と部員との文芸に関連したやりとりが多かったように思う。文芸初心者の清が垣内にアプローチをしてみるも、初めのうちは軽妙に返されてしまう場面は読んでいて微笑ましかった。
そして季節が進んでいくうちに、だんだんと気の置けないような関係になっていくのは良かったと思う。特に、生徒が使いやすいように図書室の本を教科別に並び替えたり、そして最後の部活動でグラウンドに飛び出して駆け回ったりするシーンは顧問と部員を超えた、文芸部の「仲間」関係が感じられた。
そのような関係でありながら、卒業式の際に清が垣内とあっさり別れたのも、彼女自身が成長したというのもあり、彼だったからというのもあるだろう。私は清と同じく普段あまり本を読まず、文芸部についてあまり詳しくはないため、部活動は堅いイメージがあった。しかし、文芸初心者の顧問と文芸少年の部員という全くタイプの異なる人がいる文芸部も悪くないと思った。
私にとっての身近な文芸部といったら、この作品に登場する文芸部なのかもしれない。文芸部以外にも、この物語では様々な出来事を通じて、清が変化、そして成長していく姿が描かれていた。その中で、清や垣内のように様々な性格や個性などを持った人が登場した。そのような魅力的な彼らに、私は出会うことができた。
(20代男性)
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