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読書感想文「坊っちゃん(夏目漱石)」

「坊っちゃん」の読書感想文①

この「坊っちゃん」は決して性格の良い人助けなどをするモラルの高いキャラクターではない。しかし、時に人を助け、時に傷つき、時に反省をして少しずつながらも大人になっていくそんな「坊っちゃん」が私は大好きなのである。

だからこそ自分も明日から頑張ろうと思える力を彼からは多くもらえるのだ。私はこの夏目漱石の「坊っちゃん」が夏目漱石の作品のなかで一番好きな作品である。

初めて読んだのは学生時代でそれから何度も読み直している作品の一つである。この作品は文学的にここが面白いとか、この表現方法が好きだとか、歴史的に見てこう印象的だったとか細かい理由は置いておいてとにかく笑って笑って笑える作品だから好きなのである。

私が思うにこの「坊っちゃん」という作品は学校を舞台にしていることから学生や若い人でもとても読みやすいと思う。今読んでも古く感じさせない人間の感情をメインに書かれている点がとても好きな点である。

この「坊っちゃん」というは今はやりのブログを読むのが好きな若者でも気軽に読める文学作品だと私は思うのである。

主人公の「坊っちゃん」は田舎の学校に赴任して様々な人間と関わりながら成長していくという物語であるが、基本的には主人公のモノローグで物語が進むので、主人公の話し言葉で物語が進むことが読みやすく楽しいと私は感じたのである。

また、この主人公の性格がとても個性的で曲がったことが大嫌いな上に、少し自己の主張が強いために感情がころころと変わっていくのが魅力的である。

さらに、登場人物を「赤シャツ」や「マドンナ」などという風に、主人公の主観であだ名をつけていき、ほとんどが悪口ではないかと思われる表現のためとても滑稽で楽しいのだ。

私はこの「坊っちゃん」が本当に愛されるキャラクターだからこそこの物語が好きなのである。一番好きなところは好きなことを言いたい放題言っている部分である。

若気のいたりだとも言えるが時代背景から見てもここまで好き勝手に自我を通している人間は本を読んでいてスカっとする。

国語が苦手な学生や小説や読者が得意でない人にはぜひともこの「坊っちゃん」を心から読んでもらいたいと私は思う。私自身も読者が苦手で学生時代は国語の授業をさぼったぐらいに苦手であった。

しかし、この作品に出会い小説が好きになり、今では古典作品も読めるほどにまで成長した。本を読んで楽しいと心からそう思わせてくれた。

(30代女性)

「坊っちゃん」の読書感想文②

小学六年生の頃だったろうか、たまには名作も読みなさいと、母に言われて、渋々読んだのが最初であった。その頃、私が熱中して読んでいたのは、少女漫画のようなストーリーの文庫本ばかりで、新刊が出るたびにお小遣いをはたいて買っては読んでいた。

その多くは、ごくごく普通の若い女の子が主人公で、ひょんな事から、事件に巻き込まれ、たまたま知り合ったイケメンと一緒に、事件をさくっと解決する。といった内容だった。

そんな私には、坊ちゃんは、理解出来なかった。男のくせに、おしゃべりで文句ばかり言っている。人の気持ちも考えずに、思った事をそのまま言ってしまい、人間関係のトラブルが絶えない。

性格が悪いから、こんな事になるんだ。もっとうまくやればいいのに。母には内緒だったが、確か、最後までは、読めなかったのだ。あれから30年。先日、テレビドラマで坊ちゃんを見た。

坊ちゃんて、こういう話だったのだろうか。というのが、印象だった。驚いて、もう一度、本を読み直した。

それは、私が思っていた話とは、はるかにかけ離れていた。確かに、坊ちゃんは、文句ばかり言っていた。思った事をそのまま言って、トラブルが絶えない。

しかし、自分が40歳の大人になった今、こんなに自分の意思で、まっすぐに生きられるとは、素晴らしいと感じた。私は、常日頃、人の顔色ばかり伺い、たいていの事は、人に合わせて暮らしている。

悪い事をしているわけじゃないけど、なんて、八方美人なんだろうと、自己嫌悪することも多いのだ。そして、さらに驚いたのは、お手伝いのキヨの愛情である。

まっすぐさ故に、トラブルが絶えない坊ちゃんを、常に励まし、暖かく見守り、坊ちゃんは間違ってないと言い続けるのだ。キヨは、なんて愛情豊かなんだろう。3人の子育て真っ最中の私には、本当の愛情とは、こういうものだと、教わった気がした。

私は、キヨのようになりたい。子供達に、この先、何があっても、励まし、見守っていきたい。そして、子供達には、まっすぐな人間になってもらいたい。そう思った。

(40代女性)

「坊っちゃん」の読書感想文③

私は最近小説を書きはじめるようになりまずはじめに文学を読み勉強しようと思った。そこで私が印象に残ったのは夏目漱石の坊っちゃんだ。

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」この出だしからはじまる夏目漱石の代表作ともいえる作品だ。私は文学を読むようにはなったが、なかなかピンと来るものがなかった。

あまり印象に残らなかったり面白いと思うものが無かった。そんな中坊っちゃんは他の作品よりも魅力的に感じることができた。坊っちゃんの内容は、親と兄からあまりよく思われてない坊っちゃんが田舎の学校へ行き教師になるという話だ。

そしてその中で人間の醜さ愚かさを物語の中で表現している。坊っちゃんは家族にはよく思われて無かったが一人だけ清という女中が可愛がってくれた。だが坊っちゃんにはそれが謎であって自分に大きな期待をしていたのを嫌がっていた。

しかし田舎の学校に来て坊っちゃんの心に大きな変化があった。まわりは自分の事を気に入ってないようで天ぷら蕎麦を四杯食べれば馬鹿にされ団子を食っては馬鹿にされと散々だった。

そしてまわりは自分達が悪いのにも関わらずそれを否定する人物がいないためか正当化しようとする始末だ。私はあまりにもそれが醜くおろかだとおもった。そんな事があって坊っちゃんは清がどれだけいい人で聖人だったかを実感した。

そのあと色々あって坊っちゃんは一ヶ月で学校を辞め清の元へと帰ってきた。そして清が死ぬまで家を持ち一緒に暮らした。私は清のあまりの優しさに感動をした。もしこんな人が身近にいればどれだけ良いだろうと。

清がもし坊っちゃんと歳がそこまで変わらなければ二人は恋人になり結婚していたかも知れない。というよりも私としてはそうなってほしいと思っている。

(10代男性)

「坊っちゃん」の読書感想文④

はじめに、坊ちゃんは読みにくい。それは明治時代に書かれた昔の物語だからと最初は思った。最近のオチを突きつけてから話が進んでいく小説を読み慣れている自分のせいかと思った。しかし、そうではないと気がついた。

「親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている」と坊ちゃんが言っているように下女の清以外からは、大切にされた事もなく、のちに数学教師になった事から坊ちゃんは文系ではない。

その文系ではない坊ちゃんが自分の半生を冷静にではなくまるで親や友達に愚痴るように語っているので読みにくいのではないかと気がついた。

そう思ったとたん、読みにくい文学といったイメージが一変し、「ちょっと面倒な奴だけど悪い奴ではない坊ちゃん」が自分の友達のように思えて話が入りやすくなった。坊ちゃんは、性格上曲がった事が嫌いだ。例え自分の上司であってもいいたい事を言う。

全く客観視すれば、所詮物語なので現実世界では言いにくい事をスパッと言う坊ちゃんにスカっとすれば良いのだが、一度友達のように思えてしまったので、「少しは周りと協調した方がいいよ。社会で生き抜くには長いものに巻かれないと」と坊ちゃんを心配してしまう。

坊ちゃんの赴任先の四国では何一ついい事がなく、狸(校長)と赤シャツ(教頭)は腹黒い。強いて言うなら山嵐とは友情が芽生えたが。結局辞職してしまう。

そんな坊ちゃんに「ほら、そんなんじゃ社会では通用しないって分かったでしょ。」といいたいところだが、当人は教師に未練はなく、さっさと転職し清と貧乏ながら幸せに暮らす。

ものの考え方や価値観が一般的ではない坊ちゃん。さぞかし生きづらいかと思いきやそうでもない所が面白い。

しかも、物語なのだからこんな性格でも支えてくれる美女と出会い、恵まれなかった家族が出来て子供も生まれて、生きるために教師として復職しのちに成功を収めても良いのではないかと思うがそんな展開にはならない。そこがやけにリアル。

しかし、なぜだか坊ちゃんには名前がない。ない訳では無いだろうが出していない。ますます、最初に思った不器用な坊ちゃんの語りなんだと確信した。友達の少ない坊ちゃんの四国での嫌な思い出を綴った匿名ブログなのだろう。

(40代女性)

「坊っちゃん」の読書感想文⑤

清の坊ちゃんへの愛と、坊ちゃんが離れて清を思うようすが美しいと思いました。坊ちゃんは、清は「何があっても自分を愛してくれる存在」と確信していて、ときどき自慢げにそれを見せているのがかわいらしいです。

漱石の作品の中で、こんな幸福な関係は珍しいですから。それから、坊ちゃんのべらんめいが気持ちよかった。リズムよくポンポンとでる言葉が面白いですね。

比喩もなかなか面白い。自然の描写も、晴れた日や星の出ている夜が多くて気持ちがよいですね。「頭の上には、天の川が一筋かかっている。」という文がありますが、これだけで様々なことが伝わる秀逸な一文だと思います。

冗長な文よりも、ずっと「坊ちゃん」らしいと思います。他には、夏目漱石は坊ちゃんは自分ではないと明言していたと記憶しています。

確か赤シャツが自分であるとも言っていたような記憶があります。夏目漱石は正岡子規のつてだったと思うのですが、教員として松山に赴任していたわけです。すると、漱石のその頃への反省を含めているのではないでしょうか。

自分自身が教師として駄目だった部分を坊ちゃんという理想像によって非難するというスタイルなのだと思います。そう考えれば、無常観というよりも理想主義の方がすんなりきそうな気もします。

が、大衆娯楽小説という意図がはっきりしてますから、理想主義というよりも面白い方をとって進んでいったというのが正解ではないかなとも思います。べらんめえ口調が楽しい小説だとも思います。菜飯は田楽と食うもんだ」とか、「某とは何だ、某とは。

これでも多田満仲の後裔だ」とかいった表現は、落語を聞いているかのような心持ちにさせてくれます。ただ、内容は悲しい話で、「おれ」の正義が四国では通用しないため、東京に逃げ帰るのですから。

この手記じたい、負け犬の遠吠えのようにも感じられます。そういう意味では、「曲調は長調で明るいのだけれど、歌詞は悲しい内容」という歌みたいな作品です。

(20代女性)

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