読書感想文「愛着障害 子ども時代を引きずる人々(岡田尊司)」

正直な話、私は最初、愛着障害というこの本の題名を見た時、あまり期待を持っていなかった。なぜかと言えば、今まで発達障害についての解説本をいつも衝動買いして後悔してきたからだ。これには私にとって問題点が2つある。専門家でもない私が知りたいごく単純な疑問点、発達障害という事について、知ろうとすればするほど、果てしなく難しい専門用語との空しい戦いが必要となる。

 

もう1つは、読者の私にとっては、どうにもならないような悲惨な体験談を元にして本の中身が出来ていると感じてしまう事、つまり問題を抱えている人は、共感できる人としてではなく、医者側から見る患者として扱われている事が多いからだ。ところが、この本はその問題点を感じさせない。まず、結論から始められている事が、私がこの本を購入する決め手になった。まるでエッセイのように、医師としてではなく、人として愛着という言葉を冒頭で提示してくれる。

 

序章では、自論の愛着障害についての簡潔な説明が添えられていて、これが従来の専門書と違う所だ。人と付き合う時と同じだと、常に私は本や映画を楽しむ時に決めている事があり、それが、冒頭部で気が合わないと感じたら即離れる事なのだが、この冒頭部の書き方を読んでみて、本好きの私としては思わず次の物語の本文を読みたくなるではないか。すっかり序章の部分で著者の言葉の表現にハマってしまったのだ。この本がまるで冒険を促しているような、そんな印象を持ったからだ。

 

 

 

第一章の冒頭を読んで、「あなたの行動を支配する愛着スタイル」とう表現にドキっとした。誰だって、自分の事は良く思われたいものだから、きつい言葉を言われたり、ショックな事があったらつい逃げたくなる。この本は、私にそのショックをぶつけてくる。

 

テーマが次に移る度、鏡を見ているみたいに自分の嫌な所を指摘される気がして思わず本を閉じた事もある。読み進むうち、そのショックがどういう理由から発生した物なのか説明してくるのだからたまらない。私は本と映画に加えてライブコンサートに行くのが好きなのだが、これがまた一流のエンターテイナーの演出の手法とそっくり同じに思えた。

 

とにかく、ライブは最初のつかみの曲が一番大事だから客の目を釘付けにする。次にその魅力を存分に発揮してファンを虜にする。どうして嫌な気持ちになったのか明快に説明してくれる、私にとって自分を知る三面鏡みたいな存在だ。多角的に自分では見えない部分を見せてくれる。きっと事あるごとにこれからもこの本を読んでしまうだろう。

 

(50代女性)

 

 

 

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)
岡田 尊司
光文社 (2011-09-16)
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