読書感想文「フェイバリット・ワン(林真理子)」

私は上昇志向の強い人間は嫌いだ。自分のなりたいものになるためになり振り構わない人間が嫌いだ。だが、夏帆は好きだと思った。今まで毛嫌いしてきたこの類の人達も、もしかしたら好きになれるかもしれないとまで思う。

 

夢のために好きでもない人と付き合い、利用するなんてぞっとするが、そのことで夏帆の夢が大きく形になっていくのを見ると、理解できる感情なのだ。もちろん、私には同じことは出来ないが、どんな人とでも関わっていくこと、そこで何かを学ぼうとする気持ちは大切だとわかる。

 

自分の好きな空間で自分の好きな人とだけ交わるのは楽だし、心地よい。劣等感も競争心も持たないで済む。でも、それだけだ。そこからは何も生まれない。ガツガツして積極的に生きるのはつらいことも多いし、失敗もある。でも、何かが待ってるのだ。今テレビに出てる人達も笑顔とキラキラの裏で激しく戦って上りつめたんだと思う。

 

 

 

私が向上心を持つ人が嫌いなのは自分が今まで上りつめたいと思うものに出会わなかったからなのかもしれない。夏帆は、時にはお金と権力も借りて夢に向かっていくけれど、そこに損得勘定はなく、好きなものに惹かれている感じがする。綺麗だなあと思う。洋服に対しても、人に対しても素直に好きなものに導かれるように進む。難しそうなことでも、流れにのれる行動力には憧れさえ抱いた。

 

私は面倒なことや、難しそうなことは避けて生きてきたところがある。進学、就職も無難なところを選んだ。単に誰かと競いたくない、頑張ることがみっともなく思っていた。けれど、とにかくやってみる、会ってみる、触れてみる、そういうことが世界を広げるなあと思う。

 

誰かが呼ぶなら行く、良いものだと言われたら見に行く、それだけで変わる。昔、親が有名な絵画や、クラシックにたくさん触れ合わせてくれた。意味がわからず、アニメがいいと思っていたが、今は親心だなとわかる。この本を読んで、歌舞伎を見に行きたくなった。私もまだまだ変われそうな気がする。

 

(30代女性)

 

 

 

 

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