「ちょっと今から仕事やめてくる」の読書感想文①
仕事の帰りに、ふと目にとまった1冊の本があった。興味深いタイトルに目を惹かれ手に取ってみると、主人公がいわゆるブラック企業にこき使われ神経衰弱に陥り堪え兼ねて線路に飛び込み自殺を図ったところ、元同級生を名乗るヤマモトという男に助けられる。
ちょうど私も、自分の仕事というものに疑問を持っていた時期であったため、これは読んでみようと即購入した。主人公の隆と元同級生ヤマモトが打ち解けて飲み屋で談笑したり隆が仕事に対するグチや悩みを打ち明けるのだが、こういう何気ない会話にこそ活力を生んだりストレスの発散になるということを改めて考えさせられた。
私はどちらかと言うと、そんなグチなどをこぼす暇があれば少しでも自分の仕事内容を充実させることや自分を研鑽することに時間を使うべきである、などと考えていたからである。思えば自分はあんまり同期の仲間や旧友と時間を共有していないな、と周りの人間の大切さを思い出させてくれた。
そこから隆は自分の勤めていた会社を辞める決心をつけるのだが辞める時の部長に向かって言ったセリフ、「就職活動の時に、内定をもらえればどこでもいいなんて簡単な気持ちで選んでしまったけど、当たり前だけどそんな気持ちで決めるものじゃなかった」、が自分に突き刺さった。
確かに私も就職活動の頃、何社も選考に落とされもう引っかかればどこでも構わないという気持ちが少しも無かったと言えば嘘になる。この隆のセリフはこの本を読み終わった後も頭の片隅に引っかかり、そんな気持ちで入った今のこの会社で働き続けていくのかと自分に疑問を投げかけた。
そこから私のとった行動は自分も会社を辞めることだった。二月の末にこの本を読み三月の末で退職をした。年度末ということもあり、それほど業務内容の引継ぎ等に時間がかかる事はなかったので割とすぐに辞めることができた。
そして今は自分のやろうと思っていたことを自分の仕事にするべく、一から勉強をし直しがむしゃらに進んでいる。不安もあるが、今度は自分の生きる道を簡単に選ばずに本当に自分ができることやりたいことを見つけていきたいと思った。
（３０代男性）
「ちょっと今から仕事やめてくる」の読書感想文②
本屋に行くと、一番目につくところにこの本があった。内容はようわからないけど「今から仕事をやめてくる」というタイトルに惹かれてすぐに私は会計に向かった。自分自身、いま仕事で悩んでいたためだ。帰ってすぐに読み終えた。スラスラと最後まで読めた。この作者の作品は初めてだが、とても読みやすくいろんな面で感情移入してしまった。
今の自分と重ね合わせた時、立場や職、環境は違うものの凄く共感できるところが多かった。毎日何の為に働いているのか、誰の為に会社に何時間も拘束されて働いているのか分からなくなっている状況に。読んでいて息が詰まりそうになるくらい頷けるような所もあった。そんな時に現れたヤマモトという謎の男の存在。
結果から言えばヤマモトは霊であろうが実際に存在する人物であろうがとにかく主人公の背中を押す人物であって勇気と感動を与えてくれた。大きな声、関西弁、いつも明るい性格で的確にアトバイスをしてくれる。その表現の仕方は実際の私にも勇気を与えてくれ、もう少し仕事を頑張ってみようと考えさせてくれた。
何かあったら愚痴を言ったり誰かのせいにしたり、会社のせいにしたり。それは結局会社が悪い場合もあるけれど自分も変わらないといけない。見た目も大事、身だしなみ、ファッション、笑顔、挨拶、感謝。こんな簡単なことさえも見失う程に主人公も私自身も行き詰まっていたのだろう。この簡単な事を少し意識して変えてみる、まず自分が。
すると少し、ほんの少しだけ気持ちが明るく、楽しい気分にさせてくれる。仕事を転職するのはいつでもできるが次の会社が自分に合っているかどうかは分からない。それなら精一杯、今現在頑張って、でも逃げ道がある事も確認しておく。そうすれば今の状況から一変するかもしれない。
主人公は最後は上司に言いたい事、勇気を振り絞ってみんなの前で大きな声で言った。人の扱い、何の為の仕事か、上司、同僚みんなの前でぶちまけて会社を後にした。おかげで私の気持ちもすっきりした。こんなに変われたのはヤマモトのおかげだ。作者はヤマモトが一体誰なのか主人公とどういう関係で突然近づいたきたのか、ミステリー的な流れで書かれている部分もあるが私はそこは特に気にならなかった。
このヤマモトの言葉一つ一つに意味があり、元気にしてくれる所に私は救われた。毎日仕事へ行くのが辛く、前日の夜は本当に吐き気がするような毎日。そんな状態から救ってくれた。会社に対する嫌悪感が和らいだ。辞めるかどうか悩んでいたけどもう少し考える時間をくれた。これからどうするかは自分自身でまた考えればいいと思っている。
世の中の働く人はストレスで固められていると思う。ちょっとでも楽になるように、この本を読んでもらいたいと思った。自分の人生、色々あるけれど視野を広く持ち、逃げ道もある、選択肢もたくさんある事を知る事ができたと思う。主人公の辛い毎日からヤマモトという男が救ってくれた。今までのままでは主人公は命を絶っていたかもしれない。
そんな主人公を笑顔にしてくれたと同時に、私自身も元気付けられる素敵な物語だった。
（３０代女性）
「ちょっと今から仕事やめてくる」の読書感想文③
通勤中に読んだ。ちょうど同じように、このまま走ってくる電車のホームに飛びこんだら辞められるのかなと思ったことがあり、その時の私はホームに設置されている扉のおかげで何も出来なかったという経験がある。仕事で追い詰められ、『辞めていい』と誰かに言ってもらえるまで自ら辞めるという選択がないと思いこんでいた時期があった。
今私自身は転職し、落ち着いた毎日を送れており、昔の自分を見ているような気持ちで読ませてもらった。出版されてから時期は経ったが、当時の私にはこの本が出版されていることすら気付く余裕がなかった。この本に出てくる男の子のように、先輩からひどい仕打ちを受けたわけでもないし、営業で数字に追い詰められているわけでもなかったが、みんなに良い顔をしてどんどん仕事が増えて、助けてくれる人がおらず、自分だけが何か巨大な暗闇に落とされた感覚が２年続いたという過去がある。
たまの休みに会う友人からは、雰囲気が変わったと言われ、話しても仕事の愚痴ばかり、当然誘ってくれる人も減っていった。職場では常に時計を気にして、人を気にして、仕事の進捗を気にして、あらゆる人に対して攻撃的になることで自分自身を守っていた。
一緒に働く人たちへの優しさや、感謝の気持ちが薄れ、仕事が遅い人に対して冷たい対応をしてしまったり、本来の自分がどんな人間だったのかを忘れてしまうほど仕事に魂を売っていた。この本にもっと早く出会っていれば、もっと早く「辞める」という選択肢に気付けたのかもしれない。この話をすると友人からは、「嫌だったら辞めればいいじゃん」と笑われる。
でも追い詰められているとその選択肢すら思いつけないほどになる。今まで私の愚痴に愛想をつかさずに聞いてくれた両親、友人には感謝の気持ちでしかないし、もし今後私のような状況になってしまったのなら全力で守ってあげたいと思う。ただ、泣いてしまうので電車で読むのは失敗だった。この本に出てくる彼と同じ気持ちになったことがある人はきっと涙してしまうので、途中下車してトイレに行くはめになることも教えてあげたい。
（２０代女性）
「ちょっと今から仕事やめてくる」の読書感想文④
仕事に悩む若者が主人公の物語だが、もう仕事を辞めて12年も経った主婦が読んでも十分楽しめる小説だった。久しぶりに一気にラストまで読みたいと思って楽しみながら読めたことがとっても嬉しい。仕事をして、お金を稼ぐというみんながしている毎日の日々。
それがこんなに辛くって命をも投げ出したくなるくらいだったことを今更ながら思い出し、稼いでくれている主人に対して改めて感謝の気持ちがわいた。それと同時に子供たちや主人にとっての自分の役割ってなんだろう。自分の存在価値ってなんだろうと専業主婦をしていると感じることが多々あり、何でもいいから外に出たい。
働きたいと思い悩んでいたところだったので、この作品に出合い主人公の立場とは違うが「母親」「家族」という側での存在意義のようなものを示してもらって救われた気分になった。だれだって役割がある。だれかの役に立っている。そんなのわかってはいるけれど自分に当てはめるとどうなんだろう、自分はちっぽけだな…とやはり思ってしまう。
それは大多数の人間が感じることなのかもしれない。だけどちょっとでも誰かを救えたら。ちょっとでも応援できたら。笑顔にできたら花丸なんだなと思う。この作品は優しい。優しすぎて泣いてしまった。小学生の息子も読んで面白かったといっていたので、まだ働いていない世代にも響くんだと思う。
文体は優しく読みやすいが、なにより根っこにあるところが優しい作品だから人を引き付けるんだろう。賞を取るのもうなずける。誰もがだれかの「ヤマモト」になれる可能性があるなんて救いだ。話の展開も軽快だからこそ、スタートからかなり重いストーリーでも十分楽しめた。
この作品を読むことで何人もの人がほろっとするはずだから、人だけでなく小説もやはり「ヤマモト」になりうる可能性を秘めた大事な存在である。そんなことを子育ての合間に息子から勧められて読んだ久しぶりの小説に気付かされた。実に良い出合いだったとおもう。もう一度、読んでみよう。
（４０代女性）
いい読書感想文ですね
僕もこの本が大好きです
映画も見ました
仕事っていうのは大変なものなのですね………中学生のコメントです 失礼します
中学生です。読書感想文の参考にさせてもらいました。
おとなの世界は大変なんですね、、、